小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ねとげ~たいむ

INDEX|75ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 

 クエスト開始から数十分後だった。
 突然地平線の向こうが爆発した。
 波飛沫ならぬ砂飛沫を立てながら近づいて来ると『それ』は姿を現した。
 全身黒い鱗の肌にギロチンの様な背鰭、人間など丸飲みにしてしまいそうな大きな口にノコギリの様な歯が生えたホオジロザメに2本の角が生えたようなモンスターだった。
 モンスターの名前が表示される。
『デザート・シャーク』
 私達は臨戦態勢を取る。
 デザート・シャークは大きく口を開くと私達に向かって襲い掛かって来た。
 私達は横に飛んで交わした。
「このっ!」
 私は体制を立て直して攻撃のコマンドを選択する。
 私のファイア・ソードが地中から突っ込んで来るモンスターの背鰭を切り裂いた。
「くっ!」
 私は振り向いて舌打ちをした。
 今の攻撃は言わばかすり傷程度、致命傷を与えなければ意味は無い。
「ライザーッ!」
 センリの雷撃魔法がデザート・シャークを襲う。
 しかし敵モンスターは雷撃を掻い潜りながら加速し、攻撃ターンを終えて動けなくなったセンリに向かって来ていた。
「スキル発動!」
 私はすかさずガード・スキルを発動させてセンリを庇う。
「くっ……」
 私のライフが結構減った。
 さすがにビギナー・ランクでも後半になれば普通の防御でも追いつかなくなってきた。
 すかさずレミが回復魔法をかけてくれる、センリが心配そうに私を見る。
「コロナ」
「大丈夫、でもロクなダメージを与えられないんじゃ勝てないよ」
「これ、サリアの時と同じじゃない?」
「じゃあ地中から出さないと…… でもそれだとコロナがまた危ない目にあっちゃうよ」
「大丈夫、こんな事もあろうかと準備しておいたから!」
 私は装備画面を開き、1つの武器をセレクトした。
 それはハンマー系の武器で『ガイア・ハンマー』と言う武器だった。
 槌の周りに無数の棘が生えた柄の長い、土属性の敵に対して絶大な効果を誇っている。
 海賊船の一件で私は属性だけじゃなくて武器の種類も揃える事にした。素材も結構あまってたのでメタル・スパイクと掛け合わせ、この武器を作り出した。
「古人曰く『備えあれば憂い無し』」
「コロナ、サポートするよ」
 レミは私に向かってパワードの魔法をかけた。
 私の攻撃力が2倍となり、ガイア・ハンマーを振り上げると砂の地面に向かって一気に振り下ろした。
「アース・クエイク!」
 大きく砂煙が舞うが、それと同時に私の攻撃の衝撃が大地を走り、デザート・シャークと激突した。
『ギシャアアア――ッ!』
 技の衝撃でデザート・シャークは空に打ち上げられた。
 姿が見えればこっちのモンだ!
「エミル、お願いっ!」
「りょ〜かいっ!」
 エミルは技コマンドを選択する。
 両足を揃えてジャンプ、身を翻して引いた右腕を思い切り突き出した。
「エミル・シャイニングロケットハイパードラゴンアッパ―――ッ!」
 渾身のアッパーカットがデザート・シャークの体を打ち抜いた。
『グガアアッ!』
 デザート・シャークは身を仰け反らせながら砂地に落下し、砂煙が宙高く舞い散って動かなくなった。
 一方エミルは砂場に降りると左手を腰に当てながら右手を空高く掲げてvサインを作り出した。まぁ、特撮の影響だな……
「みんなも何かポーズ作ろうよ〜!」
「私は遠慮する」
「でもこれで終わりなのかな? 何だかあっけなさすぎる」
「……ん?」
 するとセンリが何かに気付いた。
 それはデザート・シャークの周囲の砂が動き出したと言う事だった。
『グオオオオっ!』
 それは現れた。
 流砂の中から轟音と供に長い首に黒い鱗に赤い瞳、犬の様な耳の間の脳天に1本の角が生えたドラゴンが現れた。
 ドラゴンは大きな口でデザート・シャークに噛みつくと流砂の中に消えて行った。
「何? 今の?」
 エミルはドラゴンが消えて行った流砂を見る。
 流砂は蟻地獄のようになっていてまだ消えていなかった。
「これが鍵だった」
「センリ?」
「さっきの戦闘はこのクエストの…… 本当のステージに行く為の布石、さっきの奴が出て来た事で道が出来た」
「んじゃ、とっとと行きましょうか」
 レミは肩にホーリー・メイスを構えながら流砂に飛び込んだ。
 私達も流砂の中に飛び込んでレミの後を追った。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki