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ねとげ~たいむ

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 時間が勿体ないので戦う事にした。
『ギシャアアッ!』
 無数の首を振るって襲い掛かってくるラビリンス・ワーム。
 ゴムのように伸びて来たその首を回避すると私達のいた場所の石畳が衝撃を与えたビスケットのように砕けた。
 身を翻して先手を打ったのはセンリだった。
 コマンドを選択すると足元に青く発光する魔法陣が浮かび上がった。
「メガ・アクアスっ!」
 雷鳥の杖を床に突き立てると水柱が出てラビリンス・ワームを飲み込んだ。
 続いて私が出る。
「連続突きっ!」
 目にも止まらぬ無数の刃でラビリンス・ワームを攻撃する。
 攻撃を受けた頭部が空気を限界まで膨れ上がらせた風船のように弾け飛んだ。
「効いてる、こいつ水属性が弱点だ!」
「そうと分かればアタシだって!」
 エミルはアクア・トンファーを構えた。
 そしてコマンドを選択すると両足を揃えてジャンプした。
「エミル・ブルースプラッシュハイドロアタック!」
 水に関係した名前を繋ぎ合わせただけのストレート・パンチが炸裂する、何でも言えば良いって訳じゃないでしょうに……
 名前はともかくエミルの技は予想以上にダメージを与えた。
「いける!」
 私の海鳴りの鉾を持つ手に力が入る。
 私達だってダテにレベルを怠っていた訳じゃなかったからだ。

 現在のレベル。
 私が23、エミルが25、レミが24、センリが28だった。
 センリは後少しでクラス・チェンジが可能、私はもう少し時間がかかる。
 ラビリンス・ワームの首は次々と弾け飛び、残り2本となった。
「よし、このまま……」
 私は海鳴りの鉾を構え直した。
 だけどその時……
『グオオオオ―――ッ!』
 ラビリンス・ワームの残りの頭が大きく吠えた。
 すると破損した龍の首がブクブクと膨れ上がると元通りに復元した。
 だけどそれだけじゃ無い、私達が与えたダメージも回復してしまった。
「キモっ! 何こいつ?」
「自動的に回復出来る能力持ってたのね」
「厄介だなぁ……」
 私は言う。
 今まで防御力が異常に高い敵や素早い敵、特殊な攻撃を放たないとダメージを与えられない敵など色々いたけど、それらは回復できないだけまだマシだった。
 だけど今回は回復してしまう、私達がいくらダメージを与えたとしても復元してしまえば大したダメージを与えられないのと同じだ。
「今の様子からして私達が与えたダメージはほんのかすり傷程度、もっと強いダメージを与えなければ倒せない」
「そんな事言ったって……」
 いくら有利な属性が分かっても与えられるダメージが増えても限られている。
 運任せの会心の一撃を狙っても効率が悪すぎる、センリの言う通りモンスターが回復しきれないくらいのダメージを与え無ければ倒せない。
 だけど私達の使える技じゃ限界がある、全種類って訳じゃないけど、ある程度の属性付きの武器を揃える事が出来た。
 装備画面を開く、そこにあるのは炎、水、鋼、土の4つだけ、だけどあいつに有効なのは水属性の海鳴りの鉾だけだ。
「そう言えば似たようなのが神話に出て来たね、そいつは切り口焼いたら二度と再生できなかったけど……」
「じゃあそれやりゃ良いじゃん」
「無理よ、相手は土属性だし…… ん、土属性?」
 私はラビリンス・ワームを見る。
 ラビリンス・ワームは水属性の武器や魔法の攻撃を受けていた為に体の所々が濡れていた。
「もしかしたら、出来るかも知れない」
「何が?」
 エミルは首を傾げる。
 私は装備を見せながら考えを説明する。
 するとレミが呆れて鼻で笑った。
「ホント、アンタって意外な事考えるわね」
「古人曰く、『押してダメなら引いてみろ』ね」
「ってか、良くこんな装備持ってたね」
「素材があまってたから作ってみたの、攻撃と防御両方できないかなってさ…… ちょっと欲張りな気もするけど」
「良いんじゃない? アンタは遠慮しすぎなのよ」
「そうだよ、人間欲張った方が上手く行くんだから……」
「いや、アンタは少し自重しなさい」
 調子に乗るエミルにレミは言う。
 その2人にお構いなしにセンリが言って来た。
「やりたいようにやった方が良い結果が出る事もある、コロナはコロナのやりたいようにやれば良い」
「ありがとう…… でも後悔しないでね!」
 私は微笑した。
 
 装備画面を開いて武具を変更する。
 武器こそ海鳴りの鉾だけど、それ以外のグラフィックが変わった。
 白金で作られた全身棘だらけの厳つい兜と鎧の『スパイク・メット』と『スパイク・アーマー』、左手には円盤ノコギリに無数の刃が鉤爪のように生えた『刃の盾』を装備していた。

 私達は肩を並べてラビリンス・ワームの前に立った。
 改めて戦闘開始だ。
「んじゃコロナ、援護お願いね」
 先陣切ってエミルが走り出した。
 そのエミルに向かってラビリンス・ワームは3つの首を伸ばして攻撃して来た。
「スキル発動っ!」
 私はガード・スキルを使う。
 瞬時にエミルの前に立ちふさがるとラビリンス・ワームが激突した。
『ギャアアッ!』
 棘だらけの私にぶつかった事でダメージを負った。
 現在生えている首は5つ、その内3つが攻撃ターンを終えた。
 その合間を縫ってエミルが技を放った。
「エミル・デストロイハウリングバースト!」
 再び爆裂拳で相手に連続パンチを浴びせるとラビリンス・ワームが怯んだ。
 だけどラビリンス・ワームの残りの2つの首がセンリ達を睨みつけると大きく口を開き、紅蓮の炎を吹き出した。
 2つの炎がセンリに向かって飛んで行く、だがそれも作戦の内だった。
「リフレクト!」
 レミは自分自信に魔法をかける。
 センリの前に立ちふさがるとセンリの代わりにレミが炎を浴びた。だけどこれも作戦の内だった。
 敵モンスターの火炎攻撃は一旦レミの前で押しとどまると逆噴射してラビリンス・ワームに向かって飛んで行って爆発した。
『ガアアッ!』
 ラビリンス・ワームの首は煙に包まれた。
「センリ!」
「メガ・アクアスっ!」
 それがセンリが水魔法を放って攻撃した。

 今回の作戦は二手に分かれる事で相手の攻撃を分散する事だった。
 私とエミルが接近、レミとセンリが遠距離攻撃を無効化する、そのおかげでラビリンス・ワームは私のスキルで雀の涙程度しか回復できなくなった。
 一方こちらは水属性の武器による攻撃でダメージは蓄積して行った。さらに全身が水浸しになった。
 でも本当の作戦はここからだった。
「そろそろ良いんじゃないの? センリっ!」
「古人曰く、『待てば海路の日和あり』」
 そこを狙ってセンリが魔法を放った。
「メガ・ブリザーッ!」
 雷鳥の杖の先端から冷気が吹き荒れ、たちまちラビリンス・ワームが凍りついた。
 これが本当の狙いだった。
 こいつは土属性だから炎属性は通じない、火が駄目なら氷が1番だった。
 大量の水を浴びた事でラビリンス・ワームは凍りやすくなり、たちまちカチンコチンになって動けなくなった。
「今だァ――っ!」
 エミルが声をかけると一斉攻撃が始まった。
 装備を変更したエミルがドラゴン・バトンで攻撃、センリが雷撃魔法を放ち、レミも衝撃波で応戦した。
 勿論私も見てる訳にはいかなかった。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki