ねとげ~たいむ
サリアさんはレミの前に立つとパピヨン・フェザーを持つ両手を頭の上で交差させると目を閉じた。
「誘いの舞っ!」
カっと目を見開くと足元が光り輝き、サークルを作ると勢いよくパピヨン・フェザーを開いて踊りだした。
その姿はまさにステージの上の踊り子だった。
この技は敵モンスターを強制出現させ、なお且つ自分に引きよせると言う効果を持っていた。
狙い通りエミルの方へ向かっていた土煙は、方向を変えてサリアさんの方へ向かって行った。
それを確認した私は今度は装備を変更、私が持っている盾の中で1番防御力の高い『プラチナ・シールド』を装備する。
「もう一度っ!」
私は再びガード・スキルを発動させ、Qシザー・アントよりも早くサリアさんの前に立って地面に盾を向けた。
途端足元が爆発してQシザー・アントが牙を突き立てた。
防御をしていたのであまりダメージは減らないが、サリアさんを庇った為に私は中に向かってボールの様に放り上げられた。
「ああっ!」
サリアさんは口を抑える、でもこれは計算済みだった。
私が見るとセンリが魔法を唱えていた。
「グラビティ・バインドっ!」
地面から飛び出た無数の鎖がQシザー・アントを縛り上げた。これでもう土の中に逃げる事は出来ない。
さらに動けなくなったQシザー・アントにレミが防御力低下魔法をかけた。
「アーマー・ブレイクっ!」
レミの魔法でQシザー・アントの防御力が下がった。
私は落下しながらファイア・ソードを構えて技コマンドを選択した。
「唐竹割りぃ―――っ!」
私の炎の刃がモンスターを切り裂いた。
真っ二つにされたQシザー・アントは画面から消滅した。
モンスター退治後、私達はガイアの恵を手に入れて洞窟を脱出、これにてクエスト終了…… ではなかった。大事な事が残っていた。