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ねとげ~たいむ

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「流星斬りっ!」
 私のファイア・ソードが横薙ぎにモンスターを払った。
 シザー・アント達は基本的にグループになっているので一瞬で倒す事が出来た。
「何とか間に合った」
 大きな洞穴を通って一直線に進んで行って正解だった。レミ達に追いつく事が出来た。
「コロナ!」
 レミが手を振る。
 私も手を振るが近くにいるサリアさんが私と目を合わせるなり顔を強張らせながら目を反らした。
「2人供待ってて、今助けるから!」
 私は残る3体のボスモンスターに向かってファイア・ソードを構えてモンスターに突進する。
『ギシャアアッ!』
 Qシザー・アント達は体制を変えて私の方に向かって走って来る。
『シャアアッ!』
 蟻酸を放って防御力を落とすと言うのだろう、だけど私には通用しなかった。
 先ほど手に入れた鏡の盾があったからだ。
 このゲームでは手に入れたアイテムに細く説明が描かれている。
 この鏡の盾はモンスターのブレスや魔法等を防ぐ事が出来る、しかしその代わり防御力が弱く、数回ダメージを受けると壊れてしまう欠点があった。
 鏡の盾により蟻酸は弾かれると技コマンドを選択する。
「気合い斬りっ!」
 私はQシザー・アントCに一太刀浴びせた。
『ギャアアアッ!』
 Qシザー・アントCが叫ぶと背後からQシザー・アントA・Bが同時に襲い掛かった。
「ギガ・ファイザーッ!」
 突然洞窟内に無数の紅蓮の炎が尾を引きながら飛んで行くと、Qシザー・アントA・Bを飲み込んで爆発した。
『ギャアアアッ!』
 Qシザー・アントA・Bはその場に倒れる。
 見るとそこにいたのはエミルとセンリだった。
「みんな〜、生きてるぅ〜?」
 エミルは両手を振った。
 やっぱり無事だったんだ。
 レミの言う通り2人がリタイヤするはずが無かった。顔を見るとホッとする。
「レミ!」
 センリがレミにアイテムを渡した。
 それは異常回復の聖水『ポーション』だった。
 それを使うとレミのステータスは回復し、魔法が使えるようになるとホーリー・メイスを肩にかけながら立ち上がった。
「さぁて、反撃開始と行くよ」
「うんっ!」
 私達は各自の武器を構える。
『シャアア―――っ!』
『シャオオ―――っ!』
 Qシザー・アントB・Cはそれぞれセンリとエミルに向かって青と黄の蟻酸を吐き出した。
 その瞬間に私は防御しながらスキルを発動させる。
「ガード・スキル、発動っ!」
 私はエミル達の前に立つと蟻酸を防いだ。
「今よ、2人供!」
「分かった!」
「了解」
 左右に飛んだエミルとセンリがそれぞれ技・魔法コマンドを選択する。
「ハイパー・スターダスト・エミル・キィィ―――ック!」
「ボル・ファイザッ!」
 エミルの飛び蹴りとセンリのとぐろを巻いたような龍の様な炎が飛んで行くとQシザー・アントを攻撃した。
『『ギャアアアッ!』』
 Qシザー・アントBはエミルに腹部を打ち抜かれ、Qシザー・アントCは炎に飲み込まれて消滅した。
 残るは1匹!
『シャアアア―――――ッ!』
 Qシザー・アントAは地面に潜ると私達の前から姿を消した。
 すると足元が揺れ出し、土煙が地面を迸りながらこちらに向かって来た。
「2人供避けて!」
 センリが叫ぶと私とエミルはその場から飛び退いた。
 途端私達のいた場所から巨大な顎が飛び出した。
「地底からの攻撃…… 厄介だわ!」
「センリ、魔法でどうにかならない?」
 レミはセンリを見る。
 しかしセンリは首を横に振った。
 魔法も攻撃も相手が見えてこそ当てられる、当てられない攻撃は意味が無い。
「あ、あの……」
 するとサリアさんが挙手をした。
 私達は一斉に彼女を見る。
「……私、出来ます。相手を誘いだす事」
「え、ホント?」
「え、ええ……」
 サリアさんは答える。
 さっきの事を後悔してるんだろう、だったら初めからやらなきゃ良いのに…… と言いたいが今はそれどころじゃない。 
 私は肩の力を抜いて言った。
「サリアさん!」
「はい!」
「手伝ってください」
 私は頷く。
 するとサリアさんは刹那の間迷うがやがて静かに頷いた。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki