ねとげ~たいむ
画面が変わるとメガロ・キングの巨体が床に倒れて動かなくなった。
『バ、バカな……メガロ・キングが……』
C・マーマンは信じられない顔をしながら後退する。
すると壁が砕けて海水が噴出して来た。
『う、うわぁあああああっ?』
部屋中の異変を見ていたC・マーマンの足元が砕けて落ちて行った。
「な、何っ?」
「ボロい船で暴れたからでしょう、逃げるわよ!」
レミが言うと私達は部屋から飛び出した。
来た道を戻って私達は甲板まで戻り、船に乗って海賊船を脱出した。
海賊船は暗い海の中に沈んで行くと空が明るくなった。
これでクエスト・クリアだった。
私達を乗せた船が街に戻ろうとしている最中だった。
甲板ではエミルが腕を頭の後ろに回しながら口を尖らせた。
「海賊のクセにお宝持ってなかったね〜」
「まだ言ってるよ……」
「私はこれが手に入ったけどね」
私は海鳴りの鉾を見せる。
ビギナー・クラスの槍系の武器の中ではトップクラスの威力を持っていた。
「いいな〜コロナ〜」
本当にうらやましそうに言って来る。
このパーティだと私とレミだけがこれを装備する事が出来る。
「エミルも強い武器が手に入るよ、今回はちょっと縁が無かったってだけ」
「確かに、チャンスは平等にある」
センリが言って来る。
別に私だけが特別という訳じゃない、この武器を手に入れたのだって言わば偶然目に入ったからだった。
「それよりこれからどうする? 私はもう1回くらいいけるけど……」
「アタシもあるよ〜」
「問題は無い」
「私も……やっと普通の格好が出来るよ」
「結構似合ってるじゃん」
エミルが言って来る。
アバターの姿に言われてもあまり嬉しく無い。
私はふと呟いた。
「でも、いつかは本当の海に行きたいな……もちろんみんなでね」
すると3人は顔を見合わせて返して来た。
「そうね、いつか行こうか」
「賛成、オフ会開こうよ!」
「私もいつでも良い」
「うん」
私は頷いた。
そのオフ会がいつになるか分からない、だけど現実の世界でもこうして仲良く話が出来れば良いと私は思った。