ねとげ~たいむ
クエスト6,パーティ結成
「せいやあああっ!」
私の剣が空を切り、目の前のモンスターを倒した。
『ギャアアアアッ!』
赤黒い肌の巨人トロルは地響きを立てながら倒れて消滅した。
すると背後から左手に両刃剣、右手に丸い鉄製の盾を持った蜥蜴男リザード・マンが襲いかかって来た。
「カウンター・スキル発動!」
私はすかさずスキルを発動し、リザード・マンに反撃した。
これはいわゆる反撃と言う奴で、1ターンに一度だけの攻撃もこのスキルを付けていれば再度攻撃してダメージを与える事が出来る。
『ギャアアアッ!』
倒れたリザード・マン達も画面から消え、戦闘は終了した。
今私は町の外でレベルを上げていた。
夏休みに入って時間がたくさんあるのは良いのだけど、私には遊びに行く予定が無かった。
「はぁ、1人でやってもつまらないなぁ」
ちなみに今は私1人だった。
レミはお父さんと海外旅行に出かけて。
センリは京都の実家に帰省。
エミルにいたっては期末テストで赤点を取ってしまい補習を受ける事になり、合格点取るまでゲーム禁止を食らってしまったらしい
「ん?」
すると遠くの方から空に声が聞こえて来た。
見るとそこでは別のプレイヤーがパーティを組んで歩いていた。
赤いミニスカートのチャイナドレス風の衣服の上から左肩に『龍』と書かれた黒い胸当てを装着し、腰のベルトに鉄扇を結んだ赤いボブカットの武闘家風の子。
緑のショートヘアの上から白いベール、首から下も白いローブを羽織り胸元で十字架の留め金で結び、両手に柄の長い鉄のハンマーを持った僧侶風の子。
青い髪を赤いアゲハ蝶を模した髪飾りで結んだポニーテールに上半身が和服に似た感じの服に下半身が膝の丈まであるミニスカート、さらにその上から白い陣羽を羽織り、背中に身の丈まである刀を装備した戦士風の子。
金の髪を左右に分けて三つ編みにして前に垂らしその上からフード付きの黒いマントを被って肩に箒をかけた魔道士風の子だった。
装備は違うけど私達と同じジョブのパーティだった。
ちなみにこのゲームは街にいる間は一緒に買い物したり面と向かって(と言ってもアバター越し)話しはできるけど、街から一歩でも出ると一緒にプレイする事が出来ない。
移動するフィールドは同じなのだけれどもランクが違うと出現するモンスターが違う、つまり彼女達は私達と同じランク5って事になる。
「さぁ、今日もレベル上げガンバルぞーっ!」
リーダー各の武闘家の子が両手を上げる。
「でも十分じゃ無い? そろそろ次のクエスト受けようよ」
僧侶風の子がクエストに誘う。
「まだまだ、日々の鍛錬が身を結ぶのよ、それはクエストも現実も同じよ!」
戦士風の子が張りきる。
「はぁ、熱苦しいなぁ……」
魔道士の子が呆れてため息を零した。
4人はそんな話をしながら歩いて行った。
「あの子達もパーティだなぁ」
私は自分のパーティの事を思い出した。
普段は意識していなかったけど、こうして1人になってみると皆の事が頭に浮かんだ。
それは皆と初めてあった日の事だった。