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ねとげ~たいむ

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 私達はクエストを受けて準備を整えると事件の起こった森へ向かった。
 森は昼間だと言うのに薄暗く、勿論ゴブリン以外のモンスターも多数生息していた。
 赤と黄色の斑模様の体に鋭い鉤状の毒針の殺人蜂キラービー、緑の触手と赤い5枚の花弁の中央に鋭い牙が生えた口を持つ食人植物マン・イーター、毒の胞子を撒き散らすマタンゴなどが私達に襲いかかったけれども、私達は力を合わせながら先へ進んだ。
 そして森の奥深くまでやってくるとこの森で暴れまわっているゴブリン達と遭遇した。
 姿形は人間と同じだけど身長は子供のように低く腕が長い、緑の肌に爬虫類の様な気味の悪い瞳に尖った耳、頭に被った猪のず頭骸骨の隙間から銀色の髪が伸び、下半身には何らかの動物の皮の腰巻、両手には棍棒で武装していた。
「はああっ!」
 私が大きく振り上げたロング・ソードがゴブリンを切り裂いた。
『ギャーっ!』
 ゴブリンは断末魔を上げながら消滅、
私の経験値がプラスされてお金も増えた。
「ふぅ」
 腰の鞘に剣を収める、
 みんなも丁度戦闘が終わり、出て来たゴブリン達は一掃された。
「体力少ないのいる〜?」
 レミがメイスを肩にかけて言ってくる、
 私はHPメーターを見る、結構少なくなったな……
「ルカ、回復して」
「アタシも〜」
 そう言えばエミルも結構ダメージを食らってた。
 前衛で戦うのは私とエミルだから一番ダメージを受けるのは当然だけど、エミルは私より防御力が低い分ダメージを受けやすい、
「ヒールっ!」
 レミは私に回復呪文をかけた。
 緑の光が私を包み込み、ライフ・ゲージが回復した。しかし他の子達と違いHPが高いので数回かけてもらった。
「んじゃ次はエミルね、ヒールっ!」
 エミルもHPが回復した。だけど……
「ん? もっとかけてよ〜」
 エミルは自分のHPが全回復していないのに気付いた。
 確かにエミルのゲージがほんの少しだけど黒かった。
「別にそのくらいいいでしょう、満タンと変わんないわよ」
「ち〜が〜う〜っ!」
 エミルはダダをこねながら首を左右に振った。
「ゴブリンいっぱい倒してるんだから回復してよ」
「アンタさっきは攻撃は最大の防御とか言ってなかった?」
「攻撃しててもダメージは食らっちゃうモン!」
「ヘリクツ言うんじゃないの、これからボブ・ゴブリンと戦わなきゃいけないんだから、魔法は節約しなきゃいけないんだから少しは分かりなさいよ、小学生じゃあるまいし!」
「誰が小学生よ、アタシ今年中学になったんだから!」
「大して変わんないじゃない」
「変わるモン! もうすぐ20のオバハンには分かんないでしょうけどね!」
「だ、誰がオバさんよ誰が?」
「節約とか言うなんてオバさんの証でしょ!」
「ちょ、ちょっと2人とも止めて! ここ敵陣なんだから!」
 私は2人を駐在しようとする、
 だけど我慢の限界が来たのか、エミルは目を吊り上げながら叫んだ。
「もうヤダ! アタシこのパーティ辞めるっ!」
「ちょ、エミル何言って……」
「ほおっておきなさいよコロナ、協調性が無い奴がパーティに入った所で足手まといなだけよ!」
「あっそ、じゃあさよ〜ならっ!」
 エミルはそう言うと私達に背を向けて去って行った。
「レ、レミ…… さすがに言い過ぎじゃ……」
「良いのよ、このくらい言ったって」
「だけど…… センリ?」
 不機嫌そうに口を曲げたルカが言ったその時だった。
 突然センリが私の肩に手を乗せた。
「レミはそれで良いの?」
「そ、それは、エミル自身がそう言ったんでしょう、あいつがムキになるから……」
「ムキになってるのはレミも同じ…… エミルは私達と違う、分からない事が多いだけ」
「そう言えば中学になったばかりだって……」
 私は高校1年生、センリとレミは大学生だって言ってた。
 センリに言われてレミは口ごもった。
 確かに私にも覚えがある、昔お父さんが買ってきた誕生日プレゼントの着せ替え人形セットが欲しかった物と違う物だった事で親と言い争いになったのを覚えてる、
 するとレミはため息を零しながら金の髪を掻きあげた。
「分かったわよ、私も少し大人げなかったわ」
「レミ、それじゃ……」
「探しに行きましょうか、いくらゲームでも後味悪いわ」
「うん」
 私は力強くうなづいた。
 センリは見ると軽く口の端を上にあげて私に向かって握った右拳の親指をつきたてた。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki