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ねとげ~たいむ

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 階段を上って入口に入ろうとした時だった。
「そう言えばコロナ、あなたそろそろスキルをつけられるでしょう、どうするの?」
「スキル?」
 私が首をかしげるとみんな足を止めて振り向いた。
「コロナ…… スキル知らないの?」
「うん」
「はあぁ〜〜」
 エミルは深くため息を零した。
 そこまでする事かな?
「ゲームの最初に書いてあったよ、読んでなかったの?」
「う、うん、全部お姉ちゃんにやってもらったから……」
 私は入学祝のプレゼントに中古だけどこのパソコンをお婆ちゃんが買ってくれた。
 でも使い方はおろかセッティングの仕方がまるで分らず、全部お姉ちゃんにやってもらったのだった。
 そしてこのゲームもお姉ちゃんがプレイしていて、面白いからやってみろと言われたのでプレイしている、
 お姉ちゃんは私より少し前に始めてたので私よりレベルも装備も上だった。
 そして自分でもパーティを組んでいて、私達より先のランクを冒険している、どんな人達なのかあった事がないから分からないけど……
「これだから素人は……」
 エミルが両手をあげる、
 するとレミとセンリが言って来た。
「自分の事を棚にあげるんじゃないの、エミルだってスキルの事士らなかったくせに」
「ゲーム買っても説明書読まないタイプ」
「う、うるさいな……」
 エミルはバツが悪そうに首を引っ込めた。
 レミはそんなエミルをよそに私に説明してくれた。
「スキルって言うのはね、簡単に言うと魔法や技とは違う特殊能力の事よ」
 ただ一口にスキルと言っても色々な種類が存在するらしい、
 例えば瀕死を回避するスキルをキャラクターに登録しておくと、もしHPが0になってゲームオーバーになる所を僅か1だけ残して戦闘を続けさせてくれると言う物らしい、
 ただしレベルを上げて覚えられる技や魔法と違いスキル登録はギルド内にある登録所で登録しなければならない、もちろん外す場合も登録所で行われる、
 もちろんジョブによって登録できる物とできない物があるらしい、
「詳しい事は見た方が良い」
 センリが言う、それはそうだ。
 私達はギルドの中に入って行った。
 
 ギルド内はレンガ造りで床には白い絨毯、天井にはシャンデリアがあり、いくつもの部屋に分かれていた。
 その内の1つであるスキル登録所に入ると私みたいにスキルを登録しようとしている人達で溢れていた。
「あの」
 私はカウンターの中にはОLみたいな服を着て胸元に黄色いリボンを結んだ金髪で青い瞳で耳の長いエルフと言う種族の女性に話しかけた。
『いらっしゃいませ、スキル登録所にようこそ、スキルの登録をお望みですか?』
 お姉さんが言うと画面に『YES』と『NО』が表示される、
 私はもちろん『YES』を選択する、
『お客様が登録できるスキルはこちらとなっております』
 お姉さんは営業スマイルを取りながらパンフレットを見せてくれた。
 現実世界ではウィンドが現れて私のスキル・ポイントと供に現在登録できるスキルが表示された。
「転職すると使えなくなるスキルもあるから、選ぶ時は少し考えた方が良い」
「センリはどんなの選んだの?」
「私のは魔法補助スキル」
 センリは魔導士なだけあって魔法の効果を倍増化させる『魔法効果倍増』と『魔法力制御』などのサポートスキルを登録している、勿論体力が少ない分『瀕死回避』スキルを登録している、
 これによりセンリは魔法力をセーブしながら通常の1・5倍の効果の魔法を使えると言うのだ。
「私は体力はコロナやエミルより劣るから」
「でも体力効果スキルは付けた方が良いんじゃない?」
「付け焼刃の補助スキルより魔法の効果を少しでも上げた方が良い、それにこのパーティーにはレミがいる」
 センリはレミを見る、
 確かに回復専門の人間がいるのは心強い、
「そうね、パラメーターのバランスはだいじかもしれないけど、互いのウィークポイントを補うのが仲間よね」
「何言ってんの!」
 するとエミルが言って来た。
「攻撃は最大の暴挙でしょ、シュバっと動いてズバーンって攻撃すれば良いだけでしょ!」
「暴挙になってどうすんのよ? 防御でしょうが」
 おっかないな、確かに『攻撃』ではあるけど……
 でもエミルの言葉にも一理ある、私は戦士だから攻撃系のスキルが良いと思った。
「戦士は魔法攻撃に弱いから、魔法耐性も付けた方が良い」
「だけど今じゃなくてもいいんじゃない? この辺は大したモンスターは出てこないよ」
「うん」
 私は考える、
「ブーブーっ! 防御なんかのどこが良いのよ〜、早く動いてモンスターぶった押す方が良いに決まってるじゃない〜」
 エミルは口を尖らせた。
 しかしレミはエミルを無視する、
「子供はほおっておきなさい」
「誰が子供だオバハンっ!」
「ああっ? 何か言ったかクソガキァ?」
 レミがおっかない人に変身した。
 周囲の人達はみんな驚いた。
「ふ、2人とも落ち着いてよ、私のスキルなんだから!」
 とは言え今の所私が登録できるスキルは1つだけ、どうしよう?
「あ、これ」
 私は1つのスキルを見つけた。
 これは初級のジョブなら誰でも登録できるスキルだけど、どうせなら戦士である私が持った方が良かった。
「これください」 
『はい』
 お姉さんはカウンターの中から中央にB・Sと書かれた赤い勲章のような物をカウンターの中から取り出した。
 私がそれを受け取るとステータスの中に登録され、勲章自体は私の中から消滅した。

 スキルをつけ終わると次はいよいよクエストだった。
 登録所を出てクエスト登録所にやってくる、
 ここでも同じ金髪で耳の長いエルフのお姉さんがいた。
 ただしこちらは色違い、赤い服と緑のリボン、そして赤い瞳の人だった。
「どんなのがあるのかな?」
 とは言うものの初級の私達が選べる物などたかが知れてる、
 このゲームは通常クエストを10回受けると次のランクに向かう為のキー・クエストが出現する、それをクリアすれば次のランクに進む事ができる、
 通常クエストにはモンスター退治や薬草採取などがあり、毎週日曜日の午前0時に更新される、
 なおクエストを無理に受ける必要はない、自信が無ければフリー・クエストでレベルを上げ、お金を貯めてから装備を整えてから行うのも自由だった。
 初級の私達は大したクエストは受けられないけど、私達が受けたのは『森のゴブリン退治』だった。
 西の森を移動していたキャラバン隊がゴブリン達に襲われると言う事件が起こった。
 直ちにギルドはゴブリンの討伐命令が下された。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki