ねとげ~たいむ
私達は山頂を目指した。
得物の特性を生かし、陸上の敵や防御力の高いモンスターは私が、空や素早いモンスターはセナさんが引き受けた。
セナさんの『ハンター』は遠距離射撃などが得意とするジョブだった。
でもその反面ステータスが低く、弓以外はダガーしか装備できない、距離を取って安全を確保してパワー不足を補う為にトラップや爆弾などを使って補う必要があるジョブだった。
セナさんのレベルは結構高く、さらに必ず攻撃が当たる『ロックオン・スキル』や、通常攻撃の後に追加の攻撃を放つ『リピット・スキル』を装備して一撃必殺よりも確実にヒットを狙い手数を多くし、さらにエミルも使っている『スルー・スキル』も装備して短所を補っていた。
「スキル発動っ!」
セナさんのリピッド・スキルで放った複数の矢が空を裂きながら飛んで行き、ニトロ・バードを貫いた。
『ピギャアッ!』
ニトロ・バード達は体を仰け反らせながら地に落ちた。
『ガアアッ!』
すると地面の下からサラマンダーが現れてセナさんに向かって大きく口を開くと炎を噴き出した。
「スキル発動!」
私もガード・スキルを発動させてセナさんへの攻撃を防ぐと必殺コマンドを選択、新しく覚えた技を放った。
「空牙斬っ!」
半月型の真空波が炎を切り裂くとサラマンダーにヒット、画面から消滅した。
「ありがとう、コロナさん」
「周囲に気を付けて…… でも」
私は周囲を見る。
雑魚は言えモンスターが多すぎる。
これじゃ倒している内に時間切れだった。
「じゃあ逃げましょう」
するとセナさんは道具コマンドで煙球を取り出して地面に叩きつけた。
白い煙で画面が真っ白になるとセナさんが私の手を引いて戦闘から離脱した。