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ねとげ~たいむ

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「ああっ?」
 私達は宙を見上げる。
 すると垂直に跳んだベアットが宙で一瞬だけ静止すると今度は勢いを付けて落下して来た。
「スキル発動っ!」
 私はコマンド『防御』を選ぶと庇う対象をエミルに選択する。
 ベアットが隕石の様に落下してくると轟音と供に土煙が舞う。
「うああっ!」
 私とエミルは地面に転がる。
 エミルにダメージは無いけど私は防御してなかった為に結構ダメージを食らってしまった。
「2人供下がって」
 するとセンリが攻撃を放った。
 センリの矢がベアットにヒットするが大したダメージは与えられなかった。
「……武器じゃ無理か」
 センリも攻撃が当たらなかった事に顔を顰める。
 するとセンリの横に立ったショコラさんが言った。
「やっぱ魔法じゃなきゃダメよ!」
 ショコラさんはクルッと一回転、マントを翻すと右手に持った印を組んで呪文を唱えた。
「紅蓮の業火よ、魔を焼き払え! バーニング・ボルガノンっ!」
 ショコラさん手の中から紅蓮の炎が放たれるとベアットの腹部にあたって吹き飛ばされた。
『グホオッ!』
 ベアットは地面に転がる。
 だけど大したダメージじゃ無かった。
「今よ! たたんで!」
 ショコラさんの掛け声で私が特攻する。
「はあああっ!」
 私は思い切り剣を振り下ろすとベアットの左肩から右わき腹を切り裂いた。
『ガアアッ!』
「やった!」
 初めて攻撃がヒットした。
 そこへ背後に回ったエミルが勢いを付けて飛びこんだ。
「エミル・ぱ〜んちっ!」
『グルっ?』
 しかしベアットは膝を曲げると垂直跳びでエミルの攻撃を回避した。
「あああっ?」
「きゃああああっ?」
 そのままエミルは私にぶつかった。
 じゃれ合ってる猫のように私達は地面に転がった。
「ご、ごめん、コロナ」
「だ、大丈夫……」
 そう言いながら私達は体を起こすとベアットに向かって身を構えた。
「何てすばしっこいのよ! ウサギの分際で〜!」
「熊の方が多いでしょ」
「そんなのどうでも良いわよ!」
 エミルが怒った。
 それにしても厄介だ。
 相手はかなりのスピードを持つので武器による打撃は殆ど空振りになってしまう、前回のゴーストと違い一応物理攻撃は通じる。
 だけど問題なのは相手の攻撃回避能力だった。
 私やエミルの技は当たれば大ダメージを与えられるけど、近づかないと使えない為に避けられてしまう。
 かたやレミ、センリ、ショコラさん、ホイップ君の魔法攻撃は必ず当たるけど相手は魔法攻撃の耐性が付いている為に大したダメージは与えられなかった、これも星の涙の影響だろう。
 私達も技を使えばFPが減る、だけどヒットが望めないなら強力な攻撃は使わない方が良い、どんな攻撃でも当たらなければ何の意味も無い、こうなったら威力は劣るけど通常攻撃を当て続けてやると思った時だった。
『グゥゥ……』
 ベアットの勢いが衰えて来た。
 体毛から光が失われつつあった。
 するとベアットは地面をウサギのように飛び跳ねながら別の星の涙の所に行くとそれを拾って飲みこんでしまった。
『グオオォ―――ッ!』
 ベアットは再び気合いを取り戻した。
「これってマズイよね」
 私は言う。
 ベアットは魔法耐性が持続する訳じゃない、だけど星の涙は限りがある、多分今回の戦闘は時間制限の様な物があるんだろう。
 ベアットを早く倒せた分だけ星の涙をたくさん手に入れられる、しかし時間が経つに連れて星の涙の数は減って行く。
 すでに5つあった星の涙が2つ食べられた、残りはあと3つ。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki