ねとげ~たいむ
その頃。
別のルートを進んでいたエミル達はモンスターの襲撃を受けていた。
「エミル・いんぱくと〜っ!」
渾身の力を込めたストレート・パンチが炸裂した。
『ギャアーッ!』
人間くらいの巨大な棍棒に真っ黒で引き締まった筋肉の巨大な人食い鬼オーガが倒れた。
その後ろで頭から2本の角を生やした肌の白い肌の上にボロボロの緑のチョッキを羽織った松明を持つ鬼ナイト・ストーカーをレミが倒した。
「ったく、一体何匹出てくんのよ? これじゃちっとも先に進めないわよ」
「大丈夫、少しづつでも先に進んでる」
センリは言う。
センリとレミは先ほど購入した武器で戦っていた。
レミは打撃より貫通力を重視して槍に持ち替え、センリは魔法を節約、自分のスキルを考えて魔法伝導率を抑えて弓に装備を変えたのだった。
レミの鋼の槍とセンリのスティング・アーチは予想以上の成果を得た。
ほんのわずかだが攻撃力が上がった事でエミルのFPの消費も減少した。
「だけどアンタ、良くコロコロ名前が出て来るもんね、ある意味感心するわ」
「え、何? レミも名前変えたいの?」
エミルの顔が輝いた。
「そうじゃないわよ、ってか一々技に自分の名前入れるなんて幼稚臭いんじゃない?」
「何よ、別にいいでしょう迷惑かけてる訳じゃないんだから」
「センスの事言ってんのよ、少しは捻ったら?」
レミはため息を零す。
「捻る必要なんかないよ、ストレートで分かりやすい方が断然良いんだから」
「……エミル、もしかして特撮好き?」
「えっ、言って無かったっけ? アタシね、仮面バイカー・龍戦が好きなの」
「どうりで……」
「何々? センリも特撮好き?」
「嫌いじゃ無い、ただバイカー・シリーズは昭和の方が良い、ブラッコとRZが好き」
センリは言って来た。
「アンタ達、急がないと送れるわよ」
「あ、そうだった、早くいかないと! マッハで全力よ!」
「それってミラクル戦隊よ」
「え? レミ……」
「何?」
「レミってミラクル戦隊派なの?」
「バ、バカ言ってんじゃないわよ! 私は子供っぽいのは好きじゃないわ……、ただ好きな役者が出てるからそれで……」
レミは赤くなって両手の人差し指を合わせながらボソボソと言って来た。
エミルはニヤニヤ笑いながら肩に手を当てた。
「レミは素直じゃ無いなぁ〜」
「うるさい! ホラ、先急ぐわよ!」
レミは怒りを爆発させながら話をはぐらかした。
その後も3人はモンスターを蹴散らしながら先に進んで行った。