ねとげ~たいむ
私達の勝負、それはもちろんクエストだった。
今回受けたのは『採取』の『星の涙を手に入れろ』だった。
月に一度、満月の夜にのみ取れる『星の涙』と言うアイテムを手に入れるのがクエストの内容だった。
私は月の涙が取れると言うナイト・クライングの山にやって来た。
現実でもこの世界でも夜だけど、今日この日、この山の頂に月の涙が現れるらしい。
「月の涙って宝石みたいね、これ持って錬金所に行くと色んな武器を作ってくれるみたい」
「宝石自身は触媒に使われるんでしょう、このクエストが終われば私達も錬金所で新しいアイテムを作り出せるようになるわね」
「あ、それは僕達もです」
ホイップ君が手を上げて来た。
「そんなの知った事じゃないわ! アタシはあのドレスが欲しいのよ!」
「ハン、人間できない事を口にするもんじゃないわよ、お宝は私の物よ」
「うっさい! 寝ぼけた事言ってると会心の一撃を食らわせるわよ!」
「アンタこそ、あんまりふざけてると必殺魔法お見舞いするわよ!」
「「「……はぁ」」」
私とレミとホイップ君はため息を零した。
センリも呆れた感じで目を細めていた。
「本当に大変ね、貴方も……」
「お恥ずかしいです」
レミの言葉にホイップ君が苦笑する。
「とにかく、この勝負は先に星の涙を手に入れた方が勝ちなんだからね! アタシ達最強パーティーが手を組めば恐いモンなんてないわよ!」
「でもショコラさん達2人だけよ、ちょっと不公平じゃ無い?」
「はぁ? そんなの知ったこっちゃないでしょ!」
「確かにそうよね、フェアじゃないわ」
「私達の誰かがそっちに行った方が良い」
「だ〜か〜ら〜、人の話を聞けぇ〜っ!」
普段は自分が人の話を聞かないくせに……
そう言うと余計うるさくなるから黙ってようと思った。