ねとげ~たいむ
見かけたのは薄いピンクの下地に紫色の絹の生地か幾重にも重なった上半身は着物みたいだけど下半身は裾が長いスカート、肩に羽衣をかけたようなドレスだった。
「小波のドレスか……」
値段を見て今の自分の金額を照らし合わせると丁度これを買ってお終いだった。
「よし」
エミルに迷いは無かった。
いや、むしろ自分のコレクションが1つ増えるのだから喜んでいた。
エミルは小波のドレスを指差しながら叫んだ。
「「これください!」」
声が重なった。
エミルの隣には1人の少女がいた。
「「ん?」」
2人は顔を見合わせる。
その少女は見た目(アバターの)はエミルと同じくらい、先端が跳ねあがった茶色の髪のストレートに猫耳バンドをつけ、Yシャツに似た上着に赤いリボン、ひざ丈10センチの先端が赤い生地のフリル付きのミニスカート、膝から下は皮のブーツに短いマントを羽織っていた。
「ちょっと、これアタシが先に見つけたのよ! マネしないでよ!」
「マネって何よ! 私が先に見つけたのよ、アンタこそ邪魔しないでよ!」
「邪魔って何よこの黒猫女!」
「うっさい、この猿女っ!」
「なんですって、キィィ――っ!」
2人は取っ組み合いになった。
それにしても今時『キィィ――っ!』なんて怒る子なんて久々に見た。
私はエミルを止めようと駆けよった。
「ちょ、エミル止めて!」
「姉さん落ち着いて!」
するともう1人、水色の腰まである長い髪をうなじで纏め、頭の上には白い猫耳バンド、青いシャツの上から白いローブを羽織り、膝まである皮のブーツを履いていた子が表れて女の子を抑えた。