ねとげ~たいむ
私達は町に戻って報酬をもらった。
「やっぱり私達最強ね!」
「今回はセンリのおかげだよ、ありがとうねセンリ」
「別に…… 仲間を信じるのは当たり前」
センリはそう言いながら頷いた。
「センリ良い事言うね! ガミガミ怒鳴るウチの母さんとは大違い」
「怒鳴なられんのはアンタの責でしょうが!」
「まぁまぁ……」
「ガミガミ言うのは相手の事を思ってるからだよ、エミルのお母さんだってエミルの事を思ってるよ」
「そうかなぁ? いつも勉強しろとか、お兄ちゃんイジメるなとか……」
前者はともかく後者は当然だと思う、
「そう、いなくなってからじゃ遅いよ」
「えっ?」
私達はセンリを見た。
「私…… 今1人暮らしだから」
センリは語った。
センリは京都の生まれで、東京の大学通う為に上京して以来ずっと1人で暮らしだと言う、
「いいなぁ1人暮らし、アタシもしてみたい〜」
「その代わり大変、やる事が多い」
そうだよね、
私も炊事に掃除に洗濯をやる事が多いから良く分かる、
それをセンリは大学に通いながらやっている、さらに親からの仕送りの負担を減らす為にアルバイトもしていると言う、大変なんて物じゃない、
それに比べれば私達は親子で暮らしてる、喧嘩する時もある、一緒に食事をする時もある、仲良く出かける時もある……
だけどセンリはずっと1人、朝起きて『おはよう』を言う人間も帰って来て『ただいま』を言う人間もいない、
「センリ、淋しくないの?」
私は尋ねる、
少し間が置かれるとセンリの返答が戻って来た。
「時々ね、だけど戻ろうと思えば戻れるし、それに…… 今はみんながいる」
センリは私達を見て微笑した。
「センリ〜っ!」
するとエミルがセンリに抱きついた。
見ると涙を流し、鼻水を流していた。
「淋しくなったらいつでもお話しようね」
「そうね、例えゲームの中でも、出来る事があれば協力するわ」
「頼りないかもしれないけど…… 私達は仲間だよ、センリ!」
「うん、ありがとう」
センリはエミルの頭に手を乗せて頷いた。
私達は確かに家族じゃない、だけど仲間でも繋がる事が大事だと分かった。