小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ねとげ~たいむ

INDEX|114ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 
 
 最終決戦の火ぶたが切って落とされた。
 最初に出たのはトルニトスだった。
 頭の3本の角が蒼白く発光すると大きく開いた口から無数の雷球が放たれた。
 私達はそれぞれ回避すると体制を整え直して反撃に出た。
「グラビティ・バインドっ!」
 センリが拘束呪文を唱えた。
 トルニトスの足元に魔法陣が浮かぶと大地の鎖がモンスターに巻き付いた。
「アンタ達、今よ!」
「分かった」
 レミに言われて私とエミルはトルニトス目がけて突進した。
 その瞬間レミは呪文を唱えた。
 足元に金色に輝く魔法陣が浮かび上がるとトルニトス目がけて魔法を放った。
「シェイクッ!」
 レミの半月型の衝撃波が頭部に命中した。
 大きな音と煙を立てるとトルトニスの頭が爆発した。
『ガアアッ!』
 トルニトスは怯んだ。
 でも私達の攻撃はまだまだ続く。
 エミルが両足を揃えて大ジャンプ、私もファイア・ソードを振るった。
「スラッシュ・モーメント!」
「エミル・ダブルアイシクルマシンガンパーンチ!」
 私は乱舞を、エミルは爆裂拳を放った。
 実は予め決めておいた事だった。
 いつもの様にターンを費やして攻撃力を高めるやり方より、1発でも多く攻撃をしてダメージを与えると言う…… センリで言う所の古人曰く『肉を切らせて骨を断つ』作戦だった。
 本来ならば雷魔法に相性の良い土系魔法や氷系魔法の扱えるセンリも加わって4人で一斉攻撃できれば良かったのだけど、相手がドラゴンである以上空を飛ぶ可能性もある為に、センリは動きを封じる役に回って貰った。
『ギャアアアァァ―――ッ!』
 トルニトスは叫んだ。
 私とエミルは一歩引くと次の攻撃技を選択した。
「ストライク・ブレードッ!」
「エミル・ハイパージャンピングブラストキィ―ックッ!」
 私の気合い斬りとエミルの飛び蹴りが炸裂すると同時に丁度グラビティ・バインドの効果も切れた。
『ガァアアァァアア―――ッ!』
 トルニトスは勢い良く倒れると地面を砕いて土煙を上げた。
「終わった?」
「いや、この程度で終わる程ヤワじゃないでしょう」
 レミとセンリがやって来て身構えた。
 そう、こいつは言わばラスボス、この程度で終わる訳が無い…… と言うよりいつものお約束だ。
 そして案の定、煙の中から雷撃が放たれた。
「フル・ウォールッ!」
 レミがホーリー・メイスを突き出して防御魔法を唱えた。
 私達の前方に金色の輝く長方形の壁が出来上がると雷撃を防いだ。
 レミが使った防御魔法は相手の魔法やブレス系の攻撃を防ぐと言う物なのだけど、完全に防ぐ事が出来なかった。
「うあああっ!」
 レミは吹き飛ばされて地面に転がった。
 アバターはレベルが上がればその分使える技や魔法の与えるダメージも上がる、勿論レミも回復魔法の回復値や防御魔法の硬度もゲーム始めの頃よりはグンと上昇している…… でもさすがに相殺とまではいかなかったようだ。
 レミは舌打ちしながら体を起こした。
「チッ、やっぱ無理か」
「レミ! 大丈夫?」
「ちょっとしくじったけどね」
 私が心配するとレミは苦笑した。
 一方トルニトスは煙の中から立ち上がって長い鎌首を振い上げると爬虫類特有の目で私達を睨みつけた。
 案の定この程度じゃ倒せなかった。
 するとトルニトスは空に向かって雄叫びをあげた。
『グォオオオォォ―――ッ!』
 そして翼を羽ばたかせると大空に舞い上がった。
 案の定空から攻撃を仕掛けて来るつもりだ。
 空で大きく迂回すると私達の方に向かって一直線に降下して来た。
 そして頭の3本の角が光り輝くと口を開いて雷撃を放って来た。
 またレミに防御魔法を使わせてダメージを負わす訳には行かない、私は装備を変更して前に出た。
「スキル発動!」
 私が発動したのは自動防御のブロック・スキル、そしてガラスの盾を錬金して作った『鏡の盾』だった。
 鏡の盾はガラスの盾とは違い、受けたダメージの5分の1を跳ね返すと言う物だった。
 でも攻撃事態をさえぎれる訳じゃない、ちゃんとダメージは受ける。
「ぐっ!」
 私は顔を顰めた。
 HPが減ったと言っても戦士の私にとって問題は無い、私の受け止めたサンダー・ブレスは跳ね返されるとトルニトスに当たって爆発した。
『ギャアアア!』
 黒い煙が尾を引きながら落下して再び地面に衝突した。
「エミル、行くわよ!」
「うん!」
 私とエミルは再び攻撃を仕掛けた。
「もう一度、ストライク・ブレードっ!」
「エミル・フィニッシュデストラクションスタンピングキィ―――ック!」
 私の気合い斬りと飛び蹴りが炸裂した。
 と思われたその時、トルニトスの目がカッと見開くと全身が青白く発光した。
「きゃああっ!」
「うああっ!」
 私とエミルはトルニトスの放電を食らって身を仰け反らせた。
 さらに素早く尻尾を横に薙ぎ払って私達を吹き飛ばした。
「「うわあああっ!」」
 私達は2メートルくらい吹き飛ばされた。
 それを見たレミが私達に向かって叫んだ。
「コロナ! エミルっ!」
「くっ!」
 センリは顔を顰めるとトルニトスを睨みつけた。
 そして両手で握った雷鳥の杖を高々と振るうと思い切り地面に突き刺した。
「スキル発動!」
 センリの足元に紫色で六亡星の魔法陣が浮かんだ。
 その魔法陣はセンリのダブル・スキルのおかげで2倍に膨れ上がった。
「メガ・ロクス」
 センリが攻撃魔法を唱えた。
 魔法陣の内の地面が砕けると人間の頭くらいの無数の岩の礫が宙に浮かびあがり、トルニトス目がけて飛んで行った。
『ギャアアアッ!』
 岩の礫はトルニトスの全身に当たって砕けた。
 相手は雷属性だから土属性による攻撃は大打撃だ。
 トルニトスはたちまち倒れてもがき苦しんだ。
 その隙に2人がやって来て私達に回復魔法をかけてくれた。
「アンタ達! 大丈夫?」
「うん、これのおかげで何とかなった」
 私はラバー・マントを見る、エミルも平気みたいだ。
 実はこのラバーマントを用意したのは雷属性対策ともう1つ、麻痺状態対策の為だった。
 全てのゲームって訳じゃないし、確率の問題だけど、雷攻撃には麻痺が付きものだ。
 このゲームでは麻痺状態になると3〜5ターンの間動けなくなる、そうなればモンスターは私達をボコりたい放題、サポート重視の2人にも危害が及ぶ、それだけは阻止しなきゃいけなかった。 
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki