ねとげ~たいむ
私とエミルは同時に技コマンドを選択した。
「渾身っ!」
「チャージっ!」
私達の体を赤と青の光が包み込むと頭の上に攻撃力強化のマークが浮かび上がった。
1ターン使う事になるけど、それだけの時間はまだ残ってる。
するとゴーレム・コアは目に圧縮したレーザーを放って来た。
するとセンリが私達の前に出た。
「直接は防げないだろうけど、スキル発動!」
センリはダブルスキルを発動する。
足元に浮かんだ黒い魔法陣が巨大化して魔法攻撃力を2倍にすると両手で持った雷鳥の杖に火花が走った。
そしてそのまま上半身を捻ると雷鳥の杖を一気に突き出した。
「ギガ・ライザーッ!」
巨大を越えた超巨大な雷撃がレーザーと衝突する。
「くっ!」
センリは眉間に皺を寄せた。
この勝負はセンリがやや負けていた。センリの雷撃はジリジリと押し返され始めていた。
「レミ!」
センリは振り向いた。
するとレミは白い歯を見せて笑った。
「上等よ!」
するとレミは唱えた。
途端足元に金色の魔法陣が浮かぶと大きく開いた白い指の右手の中にソフト・ボールくらいの光球が現れた。
「ホーリー・ライトッ!」
レミは右手を天井に向かって掲げると光球がロケットの様に飛びあがって爆ぜ、周囲を眩い光が包み込んだ。
これは攻撃魔法と言えば攻撃魔法だけど違うと言えば違う…… これは邪悪な意思を持つ(特にデーモン系やアンデット系の)モンスターを光の中に消し去ると言う、所謂『浄化魔法』と言う奴だった。
ただしこれを使うとモンスターを倒した事にならないから経験値やお金が手に入らない為に今まで使わなかったと言う。
勿論ボスには通じない、でも影を作り出す事には成功した。
「レイっ!」
レミは隣のレイさんに向かって叫んだ。
レイさんも準備は万端だった。
床を蹴ると大きく楕円を描く様に走り出して相手の背後を捕えると右手の中に飛苦無が現れた。
「shadow・sewing」
レイさんが技コマンドを選択すると飛苦無が放たれて影に突き刺さった。
『ギギッ?』
ゴーレム・コアの動きが止まった。
レーザーが止まるとセンリの魔法が唸り、強大な雷撃がゴーレム・コアを飲み込んだ。
『ギガガガァァッ!』
ゴーレム・コアの各関節が火を噴いた。
やっぱり金属系のモンスターだから電撃は効果的だった。
これで1ターン終わったので再び私とエミルは攻撃できるようになった。
いよいよ私達の番だ。
「エミル!」
「うんっ!」
私達は同時にゴーレム・コア目がけて走り出した。
だけどレミの魔法効果も切れ、ゴーレム・コアは動きだした。
今度は両手が変形しガトリング砲の様になると轟音を立てながら魔力の銃弾を撃ち出して来た。
「スキル発動!」
私はすかさずガード・スキルでエミルを庇う、瞬時にエミルの前に立つと私はドラゴン・シールドを構えてゴーレム・コアの砲撃を防ぐとたちまち硝煙に包まれた。
「くっ!」
私は顔を顰めた。
ドラゴン・シールドは粉々に砕け散り、HPもぐんと減ってしまった。
また新しいのを買わなきゃいけなかったけど、エミルが無傷で良かった。
エミルは硝煙の中から飛び出すと再びゴーレム・コア目がけて走り出した。
ゴーレム・コアは再び両手から刀身を伸ばしてエミルを迎え撃とうとするが、その時レイさんが再びクリック・スキルを使った。
「再び、thunder・scrollでありんす!」
レイさんは二度目の攻撃を放った。
センリほどじゃないけど相手に有効な雷撃を放った。
だけど束縛が解かれたゴーレム・コアには通用せず、攻撃を中断すると両手を広げてバリアを展開してレイさんの雷撃を防いだ。
でも問題は無い、これは囮だった。
バリアを展開しているとゴーレム・コアは動けない、しかもバリアは魔法攻撃にしか通用しない。
「エミルサン!」
レイさんは叫んだ。
エミルは数メートル手前で両足を揃えてジャンプ、上半身を捻って回転しながら右足を突き出した。
「エミル・ダイナミックトルネードクラッシャーッ!」
エミルの錐揉みキックが放たれた。
するとゴーレム・コアの右肩にエミルの攻撃が炸裂した。
まさにドリルのような攻撃にゴーレム・コアの肩に亀裂が入った。
エミルは膝を曲げてジャンプ、宙を飛びながらゴーレム・コアから離れた。
「コロナ、後お願いっ!」
「分かった!」
私はファイア・ソードで黒い煙を振り払うとゴーレム・コア目がけて走り出した。
そして間合いを詰めると両手でファイア・ソードを握ると刀身に炎が灯り、最後の一撃を放った。
「ブレイク・スティンガーっ!」
私の全力をかけた突きが炸裂、刀身がゴーレム・コアの右肩を貫いた。
『ギギッ、ガガガガ……』
ファイア・ソードの刀身がめり込んだゴーレム・コアの左肩が火を噴くと全身を痙攣させた。
私がファイア・ソードを引き抜くとゴーレム・コアは後に倒れると轟音を立てて大爆発した。