ねとげ~たいむ
「やっぱ強いな……」
私は舌打ちした。
これじゃ呪文のeの文字を破壊する事は出来ない。
変形はしてる物のeの頭文字は右肩にある、それを狙えば勝利のはずだ。
私は地図を開いてみる。
アイアン・ゴーレムと王国の距離はもう間近だった。
「もう時間が無いよ、どうしよう?」
「さすがボスだけの事はあるわね」
「関心してる場合じゃないよ」
私は言う。
弱点は分かってる、でも問題はそれをどうやって攻撃するかだった。
相手は攻撃・防御供に完璧だ。スピードだってエミルやレイさんと同格かそれ以上だ。
このままじゃ時間だけが過ぎて行ってやがてゲーム・オーバーになる。
センリが言って来た。
「バラバラに戦ってちゃ駄目、陣形組んで一点集中した方が良い」
「そうね、力ずくってのも無理はあるし……」
レミも肩にメイスをかけながら賛成する。
「せめて動きだけでも止められたらなぁ……」
「センリ、あいつどうにかならない?」
エミルが尋ねる。
でもセンリは首を横に振った。
「古人曰く『時と場合』、コマンドが選択できない」
センリは言う。
何でも魔法の中にはフィールドによって使用できる物と出来ない物があるらしい、私やエミルも装備する武器によって使える技と使えなくなる技が存在する。
相手の動きを止めるグラビティ・バインドは大地の精霊に干渉して動きを止める魔法、でもここは天然の地面じゃ無くゴーレムの体内だから使用できないらしい。
「レイさん、動きを止められる技って無いの?」
私は尋ねる。
するとレイさんは口ごもると間を開けて言って来た。
「あるにはあるでありんす、でもワチキもoutdoorsでないと使えないでありんす」
「どう言う技?」
私は聞いてみる。
忍者の相手の動きを封じるというと、やっぱり網縄か巻き菱か何かかな?
「これでありんす」
レイさんは見せて来た。
名前は変更されていて『shadow・sewing』と書かれているけど、それは影縫いの術と言う奴だった。
影縫いの術とは本来は相手に暗示をかけて手裏剣や飛苦無を対象者の影に突き刺す事で相手が動けなくなると言う技だった。
でもこれも屋内では使えない、何しろ影が無いからだ。
そう思ってるとエミルが言って来た。
「あれ、でもそれって光があれば出来るって事だよね?」
「えっ? まぁ、そりゃそうだけど……」
「……光、ねぇ」
レミが考え込んだ。
「上手くいけばほんの少しだけ止められるかもね」
「レミ?」
「一か八かやってみる? 私、ギャンブルの才能ないけど」
「古人曰く『骨折り損のくたびれ儲け』、それになるくらいならやって後悔した方が良い」
「そ〜だね、このままじゃどうせゲーム・オーバーだし」
「それでどうするの?」
私はレミに聞く。
するとレミは技コマンドを開いて見せた。
それを見せるとセンリが言って来た。
「コロナ、エミル、2人は攻撃に専念して、後は私達がなんとかする」
「うん」
「分かった!」
私とエミルは頷いた。
作戦は決まった。
あとはそれが成功するかどうかだった。