ねとげ~たいむ
ゴーレムの右足の側面に左右に開く扉の様な物が現れていた。
右足を踏みしめた瞬間、センリが杖を振り上げると杖の先端に巨大な火球が出現した。
「ギガ・ファイザッ!」
センリの火炎魔法を放った。
振り下ろされた杖から巨大火球が放たれて入口を爆破、ポッカリと穴が空いて私達は底から内部に侵入した。
「何とか入れたわね」
「でも結構時間食っちゃったよ」
私は地図を開いた。
メタル・ゴーレムとパラディスの距離は半分の半分程度になっていた。
内部は意外と広く、目の前には螺旋階段があった。
私達は階段を上ってメインフロアを目指した。
その途中で何度も敵に襲われた。
ただし今回のは自然の生物でも成仏できずに彷徨うアンデットでも無い、俗に言う所のセキュリティ・システムと言う奴だった。
ブリキの人形のように背中に取り付けられたゼンマイを回転させながら襲いかかって来る長槍を持った機械兵。
側面にルーン文字が書かれて宙を飛んで動く物をことごとく抹殺する殺人歯車。
レーザーを発射する赤く丸い1つ目の円柱状の体、4本の蜘蛛の足が取り付けられたマシン・スパイダーなどと戦いながらニコラスを探した。
階段を昇っては降り、昇っては降りを続けてついにニコラスのいるコントロール・ルームへやって来た。
奴のいた場所はゴーレムの頭部部分に当たる場所だった。
そしてそこには封印の祠にあったモノリスもあり『emexlt』の文字が浮かんでいた。
『むっ? 貴様らっ?』
ニコラスは振り向いた。
「あった! コロナの言う通りだ!」
「石板が起動キーだったのは分からなかったけどね」
石板を指を差したエミルに私は苦笑した。
するとニコラスは石板に近付いて右手を触れた。
『残念だったがここが貴様達の墓場となるのだ。逃げなかった事を後悔するんだな』
ニコラスがそう言うと石板が不気味に輝きだした。
すると長方形の石板が変形し、頭の後ろが鋭く尖って丸みを帯びた顔部分が単眼になった菱形の頭部、五角形の肩から下が菱形になった両手、長方形の両足に鋭く上を向いた爪先のロボットになった。
敵の名前が表示される。
『ゴーレム・コア』
そしてニコラスはゴーレム・コアに命じた。
『さぁ! 奴らを倒せ!』
ゴーレム・コアのゴーグルの中に1つ目の光が灯った。
ゴーレム・コアの両手から鋭い刀身が飛び出すと床を蹴って走り出した。
「来るっ!」
私は叫んだ。
私達は2組に分かれて左右に飛んで攻撃を交わした。
私とセンリ、エミルとレミとレイさんは身を翻して反撃に出た。
「ギガ・ライザーッ!」
「thunder・scrollっ!」
センリとレイさんのダブル雷属性攻撃が炸裂した。
相手は見るからに雷に弱い、空を裂きながら光の刃がぶつかろうとした瞬間、ゴーレム・コアの体が輝くとドーム状のバリアが展開し、雷撃を防いだ。
雷撃が弾け飛ぶとバリアが消滅する、その隙を見逃さずにエミルが飛び出した。
「このぉぉ―――っ!」
エミルは技コマンドを選択した。
「エミル・シャイニングアタックボンバーっ!」
エミルの爆裂拳が炸裂した。
だけど相手の装甲が固い為に全くダメージを負っていなかった。
ガンガンガンと言う音だけが響き、
ゴーレム・コアの瞳がエミルを映すと両手を振り上げた。
「エミルっ!」
私はガードスキルを使った。
とっさにエミルとゴーレム・コアの間に入って盾を構えた。
ゴーレム・コアの双剣を受け止めてエミルへの攻撃を防ぐ事に成功した。
でも私の盾の半分近くが砕けちった。
「くっ!」
私は顔を顰める。
だけど私のターンはまだ終わって無い、使ったのはあくまでもスキルだから攻撃はまだしていない。
私は技コマンドを選択する。
「ストライク・ブレード!」
私の気合い斬りが炸裂する。
炎の剣がゴーレム・コアの胴を切り裂いたけど、ちっともダメージを受けていなかった。
するとレミがゴーレム・コアの後ろに立った。
「シェイクッ!」
レミの衝撃波が放たれる。
でもレミの魔法攻撃も案の定跳ね返されてしまった。
途端ゴーレム・コアの頭部が180度回転するとレミを標的に捕えた。
「レミっ!」
私は叫んだ。
でもターンを終えてしまったレミは動く事は出来ない、まして私はスキルを使ってしまったのでレミを庇う事は出来ない。
ゴーレム・コアの頭部に光が集まるとゴーグル部分に一点集中、強力なレーザーとなってレミに向かって放たれた。
「skill・onっ!」
レイさんはスキルを使った。
片膝を着きながら光り輝いた左手を地面に叩きつけた瞬間、レミの体が光に包まれた。
レーザーはレミの体を貫くとレミは消滅、ゲームオーバーとなったかと思われた。
光が晴れて現れたのはレミでは無く藁人形だった。
藁人形はレーザーの熱で発火して消滅した。
「間に合ったでありんす」
レイさんは立ち上がった。
するとレイさんの右隣りに人間大の光の球体が現れると中からレミが現れた。
レイさんはクリック・スキルを使って技コマンドで『身代わり』を選択、レミを助けたのだった。
「thank you」
「it,s nothing」
2人は握った右手の親指を突き立てた。