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ねとげ~たいむ

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 普通ならここで画面から消滅する所だけど、今回は少し違った。
 何と鎧の関節やつなぎ目が壊れてガラガラと言う音を立てながら床に落ちた。
 あっという間に兜と青と白柄のトランクス一丁の姿になった。
 次第にハウザーの兜が赤くなるとあちこちから汽車の汽笛の様な音を立てて煙が噴き出した。
『ウギャアアァ―――ッ! 恥ずかしぃぃ―――っ!』
 ハウザーは兜の顔部分を抑えながら私達が来た方の扉へ向かって走って行った。
 そして大きな体がぶつかると壁に人型の痕を残した。
『ハ、ハウザーさん!?』
『待って下さいよォォ―――っ!』
『おいて行かないでぇ―――っ!』
 反乱兵士達も蜘蛛の子を払うように出て行った。
「……結局ただの雑魚だったね」
「古人曰く『山高きが故に貴からず』」
 センリはため息を零した。
 この言葉は山が立派なのは高いからじゃ無くて木々が覆い茂るからだと言う意味で、決して見た目が良くても肝心な物が抜けてれば意味が無いと言うことわざだ。
「さてと、行こうか」
 レミは息を吐いた。
 皆も武器を仕舞うと奥へ進もうとした。
「ま、待って皆!」
 私は皆を呼びとめた。
「何?」
 エミル達は私達に振り向いた。
「あ、あのさ…… どうだった?」
「どうだったって…… 何が?」
「いや、私の技……」
 私は恐る恐る尋ねてみる。
 笑われるのは覚悟してる、でも聞かずにはいられなかった。
 何も言われないよりはずっとマシだからだ。
 でも皆難しい顔をするとお互いの顔を見合せながら言って来た。
「普通ね」
「普通だね」
「……普通」
「normalでありんす」
「はぁああっ!?」
 私は顔を顰めた。
 するとレミ達は悪気は無さそうだけど、バツが悪いと言うか、本当に言いづらいと言った感じの顔になりながら言って来た。
「いや、なんてのかな…… エミルやレイと比べるとインパクトが無いって言うか、平凡すぎるって言うか……」
「……当たり前過ぎる、ショコラも中二病故に特徴を与えてる」
「いっそenglishにすれば良いでありんす!」
「アタシみたいに自分の名前つければ良いじゃん、自分の技なんだし!」
 皆はあれこれ言うけど今の私には聞こえていなかった。
 才能が無いのは自分でも分かってた。
 だけど一応文芸部で本を読み、文章の書き方や見せ方は分かった。
 それでもエミルやショコラさんに負けてるのは正直ショックだった。
「これじゃ悩んでた私がバカだよ……」
 私は肩を落とした。

作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki