小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
朝木いろは
朝木いろは
novelistID. 42435
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

十七歳の碧い夏、その扉をひらく時 <第一章>

INDEX|5ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

 ホームルームが始まった頃にこっそりと教室へ入っていくと、担任の小谷由香がプリントを配っている最中だった。大学を卒業して二年目に初めてクラス担任を任された小谷は、生徒から「チビ谷」と呼ばれている。
 一番後ろの窓側の席に近づき、椅子をゆっくりと引く。その時、上靴の縁と椅子がぶつかってカツンと高い音が鳴った。クラス中が俺の方を向く。小谷も俺の方を見た。
「また片桐君なの? 話があるから放課後進路相談室に来なさい」
 プリントを手に持って俺の席まで早足で歩いてくると、鋭い声でそう言った。
 小谷から出てくるフレーズはいつだって決まっている。心を開けとか、自分をさらけ出せとか、うんざりするような言葉を延々と繰り返すのだ。前にも幾度か一対一で話をしたことがあるが、何の役にも立たなかった。小谷の相手をするのは億劫だったが、母さんにチクられるともっと面倒なことになるのはわかっていた。