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朝木いろは
朝木いろは
novelistID. 42435
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十七歳の碧い夏、その扉をひらく時 <第一章>

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「片桐君、ちょっと」
 小谷はチャイムが鳴り終わるのと同時に、俺の方に歩いてきて手招きをした。
「この前の話なんだけど」
「この前?」
「片桐君の生活態度について。もう忘れちゃった?」
「あぁ、覚えてます。だけど、他に話すことはありませんから」
「先生にはあるの。とにかく放課後進路相談室に来て。いい?」
「今日は時間がないんですけど」
「そう、じゃあ仕方ないね。お母さんに連絡を入れないと。あなたのそのサボり癖について相談しないといけないから」
「親には関係ありません」
「いいえ、関係あるわ。あなたが来ないなら親御さんを呼ぶしかないもの」
 俺は胃がキリキリ痛むのを感じながら、強引な人間は罪だと思った。自分の意見を盾に他人の気持ちなんていとも簡単に潰してしまうのだから。そのうえ本人には罪悪感がまったくないのだから余計に性質が悪い。