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朝木いろは
朝木いろは
novelistID. 42435
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十七歳の碧い夏、その扉をひらく時 <第一章>

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「初めまして、西園寺です」
 口にもしゃもしゃのヒゲを生やし、黒ぶちの眼鏡をかけた中肉中背の男が俺の目の前で右手を差し出した。反射的に自分も右手を出して軽く握ると、俺の冷たい手とは対照的に西園寺の手は少し汗ばんでじっとりしていた。
「こっちが長女の小夜子(さよこ)、そして次女の菜々子(ななこ)です」
 菜々子は、ぱっちりした瞳を見開いて、物珍しそうに俺の顔を見た。
「うわっ、本当にイケメンじゃん。芸能人みたい!」
「菜々子やめなさい」
 小夜子は妹をたしなめてから、「ごめんなさい」と俺に頭を下げた。小夜子は菜々子とは対照的で、全体的にぼんやりとした顔つきをしている。色素がもともと薄いのだろう。 茶色がかった髪の毛に栗色の瞳、薄い唇がピンクに色づいている。俺の方を見て少し微笑むと、「同じ二年生ですよね。よろしくおねがいします」と丁寧な言葉遣いでもう一度頭を下げた。