アイスエンジェル
――バシャ。雪が落ちる音で目を覚ました。
いつの間にか眠っていた。僕は床下に倒れ、顔をあげると目の前に暖炉があった。暖かい炎がメラメラと燃えている。
窓から日差しが差し込んでいた。その事実に気づいて、ゾッとした。
「華彩!」
僕が後ろを振り向くと、全身裸になった華彩がいた。
「何やってるんだよ」
「燃やすものがなかったから、服を入れたの」
「そうじゃねえよ!!」
僕は彼女を抱きしめた。すぐに身体を冷やそうとしたが、華彩の身体はまったく冷たくなかった。どこにでもいる、普通の女の子と同じ体温だった。
肌はじっとりと汗で濡れ、頭からは白い蒸気が再び噴出していた。
「ごめん、すぐに冷やすから」
「ううん、もう大丈夫。もう大丈夫だから。本当にゴメンね。吉岡くん、サヨナラ」
蒸気は止まらない。やがて彼女はぐったりと倒れこみ、そのまま蒸気となって消えてしまった。
僕は床を強く叩いた。