アイスエンジェル
華彩は、消えてしまった。僕はしばらく呆然としていた。どれくらい時間は経過したのだろうか。それほど時間は経っていないと思う。やがて、空からドドドという轟音が響いた。
轟音はかなり近く、僕は玄関から外に飛び出した。階段を降りて見上げると、空にはレスキュー隊のヘリコプターが旋回していた。
輝く太陽の下で、ヘリコプターの扉が開いた。そこには数人の大人が搭乗していた。後ろを振り返ると、山荘からはモクモクと黒い煙が出ている。
そう、か。あれが目印になったんだ。あれだけ沢山煙が出ていれば、すぐに発見できるに決まっている。
だから僕は、泣いた。
どうして、どうしてどうして――もっと早く助けてくれなかったんだ。
僕はその場に崩れ落ち、何度も何度も地面を叩いた。