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七ケ島 鏡一
七ケ島 鏡一
novelistID. 44756
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グランボルカ戦記 2 御前試合

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「いや、まあ。大したことじゃないんだ。前にユリウスが俺に相談してきたんだよ。カーラさんが気になるって。それこそソフィアじゃないけど、『あの人が自分の姉だったらどんなにいいだろう。いや、姉なんかじゃなく、ゆくゆくは自分の妻になってほしいくらいだ』ってさ。まあ、それを俺に言ってどうするんだとか、色々思ったんだけど、そこはグッと飲み込んで俺は聞いたんだ。でも、彼女は大分年上だぞ。ってさ。そしたら、ユリウスは『わかってる。でも大丈夫だ。アドバイスをしてほしい。』って言ったんだよ。だから俺は、よし、じゃあ行ってこいと、男は度胸だ。と、送り出したわけだ。」
 もうユリウスはレオを睨むのをやめて、観念したようにエドに羽交い絞めにされたまま下を向いている。
「とはいったものの、心配だからこっそりついて行ったんだ。そしたら、案の定断られていたんだけど、その時またユリウスが言ったんだよ『歳の差なんて関係ないじゃないですか。僕はそんなの気にしません』ってさ。んで、カーラさんは困り果てて、『もう少し、大人になったらね』って言って去っていったんだ。んで、ユリウスはその言葉を聞いて、ものすごい舞い上がっちまって・・・。『はやく大人になるんだ』なんて言っててさ。でもまあ、本人が幸せならいいかなと思っていたんだけど。まさかカーラさんの年齢を知らなかったとは思わなくてさ・・・。」
 もう誰の顔にも笑いは残っていなかった。いや、残ってはいるが、それは引きつった、乾いた笑いだ。
 せいぜい、カーラへの秘めたる思いを、レオに告げたくらいだろうと思っていたのに、まさか本当に本気の告白をしていたとは。さらにはやんわりと断られているにも関わらず、それに気づかずに本気で舞い上がっていようとは。
 これはさすがにまずいと。
 開けてはいけない扉を開けてしまったと。
「・・・だってしかたないじゃないか。あの人がそんなに年上だなんて思わなかったんだから。せいぜいソフィアさんと同じくらいだと思っていたのに・・・。」
 うつむいたままぽつりぽつりとユリウスが言葉を発する。
「あ、あのねユリウス君。わたしは、しかたないと思うな。カーラさん本当に若く見えるもん。わたしも勘違いしていたし。うん、しかたないよ。わたしが男の子だったらユリウス君と同じようにカーラさんの事好きになっていたと思う。」
 そう言ってソフィアがユリウスを慰めようとするが、ユリウスはうつむいたままだ。
「あ・・・えっとね、ユリウス。お姉ちゃんちょっと悪乗りしすぎちゃったかなあ・・・なんて。大丈夫だよ。きっといい感じに年上の優しい女の人がユリウスのこと好きになってくれる日がくるって。」
 エドがそう言って羽交い締めにしていた腕を緩めると、ユリウスはそれを振り払うようにして少し距離を置いて全員を睨む。
「下手な慰めなんかいらないよ!遠慮無く笑えばいいだろ。笑えよ!皆で好きなだけ笑ってろよ!」
 ユリウスは泣きながらその場を走り去っていった。