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七ケ島 鏡一
七ケ島 鏡一
novelistID. 44756
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グランボルカ戦記 2 御前試合

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「え?いやあ。なんだかんだ言ってレオってソフィアに対して優しいなあって思ってさ。」
「俺のことを優しいとか言うな。・・・でまあ、その後は自分たちで生計を立てるとかなんとか適当な事を言って国を出て、元々ウチの母親が奉公してたって縁もあって、アンのおっさんの所で働かせてもらっていたわけなんだが。そんな成り行きでなった夫婦関係を無理やり続けるってのもちょっとどうかと思ってな。まだお互い若いしってことで一旦結婚は白紙に戻して、後はお前も知ってるような今の関係になったんだ。」
「わたしはそのままでも良かったんだけどね。レオ君が嫌だっていうからさ。」
「・・・まあ、そういうわけでこっちは自由にやっていたんだけど、さすがにそれをバカ正直に報告するわけにも行かないからな。一応夫婦関係を続けている体で手紙を書いていたんだよ・・・それを。」
「あはは。・・・ごめん。」
 睨むようなレオの視線を笑ってごまかしつつエドが反論をする。
「でもそれならそうと、ちゃんと言ってくれてればよかったのに。そうしたら私だってあんなこと言わなかったよ。」
「それを他人に言ったらわざわざ関係を解消した意味がないだろうが。・・・ま、いいや。俺はしばらく身を隠すから皆にはよろしく言っておいてくれ。」
 そう言って走りだそうと見を翻したレオは、何かにぶつかって尻餅をついた。
「おお、レオ。それにソフィアも。丁度良かった。ルチアおばさんが来ているぞ。」
 レオにぶつかられたアレクシスは倒れたレオに手を差し伸べながら言う。
「何でそれを既にお前が知ってるんだよ。」
「今回おばさんに来て欲しいって言ったのは僕だからね。直接頼みたいことがあったし、それに二人も会いたいだろうと思ってね。びっくりさせてやろうと思って黙っていたんだが・・・。」
「お前はなんだってそう空気が読めないんだ。ソフィアはともかく、俺がルチアおばさんに会いたい理由なんかないだろ。」
「何を言っている。妻の母が来ているのに義理の息子が会いたくないなんて言うのは駄目だろう。」
「・・・・・・何で知ってんだ。」
「何でもなにも、3年前、二人が結婚した時に、ルチアおばさんが手紙で知らせてくれたんだけど。」
「あのババア無駄にマメな・・・。つか、じゃあお前ずっと知っていたのか!」
「ああ。夫婦なのに何故寝室を共にしないのかと不思議には思っていたが。何だ、秘密だったのか?」
 そう言って不思議そうに首を傾げるアレクシスを見て、レオは盛大に溜息をついた。
「・・・本当にお前は食えねえ奴だな。ま、いいや。とにかく俺はしばらく身を隠す。ルチアおばさんにはうまいこと言っておいてくくれ。」
 逃げようとするレオの腕を掴んでアレクシスが止める。
「どこへ行くんだレオ。今日の夜は皆で会食をしようと思っているのに、レオがいなかったらルチアおばさんだってがっかりするだろう。」
「だーかーらー。会食なんかしたら皆がガッカリゲッソリするようなピリピリした状態になるっつってんだよ。」
「ふうん。そりゃあ、ルチアさんがいるからかい?」
「そうだよ、あのババアが居ると・・・。」
 言いかけて、油が切れたからくり人形のような動きでレオが振り返る。
「うん、あのババアがいるとなんだって?言ってごらん。」
 いつの間にかアンドラーシュと一緒にレオの背後に立っていたルチアがニコニコと笑いながら先を促す。
「あ・・・いえ、あの。若くて綺麗なルチアさんがいると、ですね。食事の席も華やぐなあと。」
「レオ。一つ教えておいてあげるわ。」
「な・・・なんでしょうか。」
「見え見えのお世辞ってのは、悪口よりも腹が立つんだよ!」
 ルチアの拳を受けたレオは綺麗な放物線を描いて宙を舞った。