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DESTINY BREAKER 一章 4

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「最近何か悩んでおったようで元気もなかったし、わしに何も話そうとしない、加えて突然家を飛び出すもんじゃから、なにかと思ったぞ。」
祖父はそう言うと私を抱きしめた。
「桜花。お前は確かに良きことをした。それは誇れることじゃ。」
私に触れている祖父の体は微かに震えていた。
見ると祖父は涙を流していた。
「だがな桜花。頼むからこのわしより先に逝くようなことはせんでくれ。悩みがあるならわしに話してくれ、桜花の苦しみや痛みはわしの苦しみと痛みじゃ・・・なにより桜花を失ったらわしは・・・」
「大丈夫だよ、いままでごめんねおじいちゃん。わたしは大丈夫だよ。」
私は祖父の胸の中で小さな安らぎを感じた。
日の光が暖かく差し込む純白の部屋で
わたしは生まれて初めて
この世界に自分が生きていることに感謝した。



それから半年程経ち私は地元の中学校へ入学した。
クラス編成が運良くと言っていいのかはわからないが私を嫌悪する人と同じクラスにはならず、外側からは平穏ともいえる学生生活が待っていた。
小学校でクラスが一緒だった人は、あの頃のこともあるのだろう、皆が私から距離を置いている感じがした。すこし悲しかったがこれくらいのことは予想していたし、たぶん、そのうちに他の小学校から来た生徒もいずれは『私』という存在を知り避けるだろう覚悟もしていた。
私の『力』が善意のために使われたとしても、この『力』の存在が皆に認められるかといえばそれは違うだろう。それならば、せめて人に認められなくともこの『力』で人を助けることが出来るのならばいいと願った。もう二度と大切な人たちを失いそうになる悲しさを味わわせないために。
入学式から一週間が経過し、その日も何も変わらない朝だったことを覚えている。
私は本の読みすぎであまり睡眠をとっていなかったので窓から見える外の景色に目を向けながら机に頬杖をつき、うとうととしていた。
「おはよう。みんな。」
担任の教師の声がきこえた。
「入学して早々だが、転入生だ。さあ入ってきなさい。」
担任が声をかけると、その転入生がもじもじしながら教室に入ってきた。
男子の面々が、おおぅと感嘆の声をあげている。これだけでかわいい女の子ということは確認できた。
私は眠気に耐えられなくなり頬杖をついたまま目を閉じた。
「ああぁ!」
転入生はその場にそぐわない不可思議な鳴き声をあげた。
作品名:DESTINY BREAKER 一章 4 作家名:翡翠翠