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DESTINY BREAKER 一章 4

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少女だった。未来ではここにいないはずの少女だった。
少女は私の胸の中で声を上げて泣いていた。
車であろうか、それともいきなり飛び出してきた私に対してだろうか
怖かったのだろう・・・とても怖かったのだろう。
私は少女の髪を、頭を撫でた。
「大丈夫。もう大丈夫だよ。」
少女は下から見上げるように私の顔を見た。
「安心して。大丈夫だから。」
私は繰り返した。
少女は次第に落ち着きを取り戻した。そして
「ありがとう。お姉ちゃん。」
涙を目にためながらも、私に精一杯微笑んでそう言った。
そうなんだ。
私の力はこのためにあるんだ。
消えようといていた少女の命は今私の胸の中でたしかに生きている。
車から運転手が降りてきてこちらに走ってくる。
私は急に眠くなった。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
かすかに少女の声が聞こえたけれども私は目を開け続けることができなかった。
「だれか救急車を!」
大人の声も聞こえる。だけど、やっぱり眠いなぁ。
私はそのまま自分が闇に沈んでいくのを感じた。
しかし、その闇は私が感じたことのない小さな光が灯る暖かい闇だった。

「・・・ぅか!桜花!」
私は目を開けた、真っ白い部屋に差し込む日の光がたまらなく眩しかった。
「桜花!わかるか桜花!」
「・・・おじいちゃん?」
私が寝ているベットの横で私の祖父が立っていた。
幼い頃両親を亡くした私を引き取り育ててくれた今の私にとってたった一人の家族であり大切な人だ。
「どうしたのおじいちゃん?こんなところで。」
見たところ私が今いる部屋は病室だ。
記憶が不鮮明で私はなんで自分が病室にいるのかがわからなかった。
ただ頭にグルグルと包帯が巻かれていて体もピリピリとすこし痛かった。
「あなたは道で轢かれそうになった女の子を助けて、そのときに頭を打ち、脳震盪(のうしんとう)で気を失い病院に運ばれたんですよ。」
祖父の後ろに立っていた白衣の男性がきわめて優しい口調で教えてくれた。
「それにあなたの体も弱っていましたし―――。」
「そういえばあの子は?あの子は大丈夫だったの?」
私は思い出し、話の途中に水をさす状態になりながらそのことを聞いた。
「ええ、あなたのおかげで。」
それでも白衣の男性は優しく教えてくれた。
私はホッと胸をなでおろした。
すると祖父がおもむろに私の頭に手を置いた。
作品名:DESTINY BREAKER 一章 4 作家名:翡翠翠