キラーマシンガール 後編
白雪が囁いた。正面の曲がり角の先から誰かが近づいてきている。ここまでは一本道だ。隠れる場所もない。
「戦うのか?」
「はい。相手は研究員だから戦闘に関しては素人のはずです。迎え討ちます」
曲がり角のすぐ手前の壁に張り付き、息を潜めて敵が近づいてくるのを待つ。
相手はすぐに僕たちの目の前に現れた。白衣を着た痩せ型の長身の男だ。僕達の存在には全く気づいていなかったようで、男は面食らった様子で動きを止めた。
「誰だっ!お前r」
男が口を開くのとほぼ同時に、白雪が拳を男の腹部に叩きこんだ。男は意識を失ったようだ。
「行きましょう」
男を床に寝かせて、白雪は更に奥へ向かって歩き出した。幾度か分かれ道に差し掛かるが白雪は即座に道を選び、奥へ進んでいく。
「警備が薄いんだな」
「小規模な研究所だし、私達みたいな者が来ることは想定してないようですね」
「でも、価値のある資料がこの奥にあるんだよな」
「まぁそれは依頼人にとってそうであるというだけですから……ここですね」
作品名:キラーマシンガール 後編 作家名:くろかわ