グランボルカ戦記 1 紅と蒼の姫
「リュリュ皇女と一緒に、あなた方のかくまっているリシエールのエーデルガルド王女もバルタザール帝に奪われる。・・・というシナリオですね。もちろんそのシナリオには、この世界の終焉というエンディングがつきます。」
「あら、怖い。」
「ええ。ですから、その怖い未来を防ぐためにも、できればエーデルガルドもリュリュ様と一緒に引き渡していただけると助かるのですが。」
飲み終わったカップを置いたアリスの目が鋭く光り、射ぬかんばかりの視線でアンドラーシュを見る。
「あらあら。・・・・・・小娘がいっちょまえに。」
アリスの視線に負けじと、アンドラーシュも一瞬鋭い目付きになるが、すぐに普段の締りのない視線に戻った。アリスの眼光も、いつの間にか、普段のそれに戻っている。
「・・・なんてね。心配しなくても大丈夫よ。エーデルガルドなんてこの街にいないから。世界が終わることは、しばらくないわよ。」
そんな二人の様子を見ていたヘクトールは、いまいち二人の関係が読みきれないでいた。
「アン、二人は一体どういう関係なんだ?」
「え?・・・ああ、そういえばヘクトールに話したことなかったっけね。アタシとアリスは・・・。」
「アン、それは私から話しましょう。」
そう言ってアリスが語り始めた
作品名:グランボルカ戦記 1 紅と蒼の姫 作家名:七ケ島 鏡一