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 校門を過ぎた辺りから、聞くまい、と思っていたが、我慢できなかったので聞いた。
「原間さんは大丈夫だった?」
 永井はムッとした。いつもならここで手が飛んでくるが、今日はなかった。
「フツー聞く?」
「ですよね」
「永太のことだから、よく分かんないんでしょ?」
 その通りだった。永井と原間さんのやり取りが、俺にはよく分からなかった。
「永太が分からないんだったら、原間さんは大丈夫」
「そうなんだ」
「そうなんですよ」
「そっかそっか」
「そうそう」
「さよか」
「せやで」
 馬鹿の応酬もどこかキレが悪かった。当たり前だ。俺には言うべきことがあって、いつ切りだそうかとそのことだけをずっと考えていたのだ。きっと永井も、俺がいつ言い出すのか気が気ではなかっただろう。踏ん切りがついたのは、永井の家の前で分かれる寸前だった。返事は部活前までにすると約束したはずだ。もう十分過ぎてしまっている。今ここで言わなければ不実そのものだ。ドラマでよく見るウジ虫男だ。挟んで捨てよう。
「永井、あのさ」
 俺は告白の返事をした。
作品名:好きです 作家名:小豆龍