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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy4~志~

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「お母さん、また捕まっちゃうよ…。」
僕よりも先に口を開いたのはキュオネだった。
「一応言っておくけれど、キュオネの出生の秘密がこれ以上外部に洩れたり、キュオネが危険に晒されたりしたら、今度は試すんでなく、殺すから。」
「お母さん!もう、やだよ!?」
キュオネはキロの服を掴んで抗議をした。それをキロは軽く腕で払って、傍に転がっていたナイフを拾うと、そこについていた僕の血を指で拭いて舐めた…。
「キュオネ、お前が洩らすからいけないんだって。わかっただろう?巻き込みたくなかったら軽く口にするなよ。」
キロはしれっとそういうと慣れた手つきでナイフをホルダーに入れ、服にしまった。キュオネは、それ以上は何も言えないといった様子で黙りこくった。
「あたしは、殺るときは殺るからね…。あたしはね、今まで悪いことをしてきたけど、間違ったことをしていないって思っているから、必要があれば悪いこともする。」
キロの言葉には強い意志のようなものを感じられた。堂々としている彼女は、自分がしてきたことへの罪悪感は全くなさそうで、僕は背筋が凍るのを感じた。デメテルはキロの何を見て釈放したのだろう。キロは危険すぎる人だった。随分とデメテルはキロを信頼しているようだったけれども、大丈夫なのだろうか。

「あたしは懲りてない。」

キロは大きく手を広げた。窓から日が入って、キロを照らした。
「あたしは、簡単な覚悟で今までやってきたわけじゃない。あたしの好きになった人が持っていた志は、絶対に間違いじゃなかった。実際に神界と人間界は分裂をしてしまっている。ざまぁみろって思ったよ!だからこそだ、だからこそ、これからも自分を曲げない。でも、
ブロウニーが死んじまって悲しい。だからこそ、あたしは奴との間に生まれたシーの娘を全力で守る。可愛い可愛い孫娘だ。二度と大切な人を失わない。そのためなら、あたしは何だってする。周りに何て思われようと構わない。」

キロは、僕に胸を張ってそういった。その言葉は開き直りとも言えて危険なものであったが、でも、何故か僕はそのキロの姿が神々しく見え、いつまでも僕に残って消えなかった。