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雪解け

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そんな高原が、再び俺の「クラスメイト」になったのは、高校2年に進級したときのことだ。教室の中に高原の姿を見つけたときの俺の狼狽っぷりは、我ながら半端なかったように思う。去年の8月、ひとつ上の学年の生徒が、交通事故で亡くなった。噂に聞いたことだったが、それが高原の彼氏だったらしい。それ以来、高原はまったく学校に来なくなっていた。高原がどうにか気持ちを立て直したのか、それとも学校側が配慮したのか。その心情なり事情なりを察することなど俺には出来そうもなかったが、とにかく留年という形で、高原は復学したのだった。

始業式までの移動中も、教室に戻って出席を取る間も、俺は高原のことが気になって仕方がなかった。一方の高原は、ただの一度も俺のほうを見ようとしない。席は近く、少し視線をずらせば目が合いそうな距離にいるのに、なんだかずっと遠くにいるようだ。俺は肩透かしを食らったような気持ちで、仕方なく配られたプリントに目を落としていた。

ところがホームルームが終わった途端、高原は立ち上がって真っ直ぐに俺の席へやってきた。俺は動揺を抑えるのがやっとで、黙ったまま脇に立つ高原を見上げる。

「一緒に帰んない?」

まともに言葉を交わすのは2年ぶりだというのに、高原の誘いは、ごくごくシンプルなものだった。

作品名:雪解け 作家名:ゆき