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ACT ARME4 あたしの力

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「そうしておけ。だが、今後こういうことが起きた時はまず真っ先にこちらに通報しろ。」
と、調子に乗りそうなルインにしっかりと釘を刺す。
「はーい。でも、今回は通報しなくて正解だったと思うよ。だって、係長さんたちが先に来たら、まず間違いなくアコちゃんたちが人質にされたからね。」
はーいと言いつつ、あんまり聞き入れてもらってない感じを漂わせるルインの返答に、やれやれとため息をつくヒネギム係長であった。


「そういえばさ。」
と、同じく担架に乗せられ、救急車へと運ばれようとしているアコが、全く同じ状態にあるレックに気になってた事を聞いた。
「さっき、レックはあたしの両親のこととか言ってたけど、なんで知ってたの?あたし話したっけ?」
「うぇ!!?」
その質問に、レックはドキーーーン!!と心臓が縮みあがって三分の一の大きさになるほど驚いた。
「ああ、えーっと、それはその、えーと・・・・・」
しどろもどろになって慌てるレック。あの時は意識が朦朧として思ったことをそのまま口走ってしまったのだ。
「何?ルインか誰からか聞いたの?」
と、先に言われ、レックは大人しく観念した。
「うん、そんなんだ。ごめん!!」
と、けが人なのに担架の上で土下座するレック。
「いや、謝らなくていいわよ。別に隠したいと思ってないし、ルインだけじゃなくて、ツェルもグロウもフィーナにも、みんなに話してることだから。」
意外な言葉に、レックは「へ?」と土下座のまま間抜けな声を出してしまった。
「え、皆に話したって、アコは自分の過去がトラウマになってないの?」
「ん〜、そりゃまあトラウマにはなっているわよ。でも、そんなトラウマを一人で抱え込んだら辛いじゃない。だから、誰でもとは言わないけど、話してもいいなって思った人には話してるの。」
「そ、そうなんだ。」
「うん、レックにも話そうかなーって思ってたとこだったし。だから謝らなくていいわよ。むしろ、あの時レックがあんな風に言ってくれたから、今こうやって戦おうって決意できたし。だから、ありがとね。レック。」
その笑顔には、迷いや憂いは一切なかった。本当にこの選択でよかった、そしてそれを励ましてくれたレックに心から感謝している。そんな笑顔だった。
そんな笑顔を、ぽかんと眺めていたレックは、ぽつりと呟いた。
「ほんと、ルインといいアコいい。本当に凄いと思うよ。」
「そう?」
なんてことないように聞き返すアコに、レックは誰にも聞こえないほどの声で小さく呟いた。
「うん、ボクは、ボクだったらそんな風に割り切ることは・・・」



絶対に出来ないんだよ。
作品名:ACT ARME4 あたしの力 作家名:平内 丈