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ACT ARME4 あたしの力

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「ほう、貴様も木のアトリビューターか。だが、同じ属性であればより多くの経験を積んでいる我のほうが・・・・・!!?」
グロームが皆まで言う前に、背後から気配が急激に裂迫されるのを感じた。
直後、裂迫されたような気配が爆発した。
「何!?」
全く予想していないタイミングと攻撃。回避が間に合わず、辛うじて蔦を出すことでダメージ軽減を図る。
「今のは、炎の孔技か!?なぜ・・・・   !!」
考えている間など与えられない。着地しようとしたグロームを、今度は突風が襲った。吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられるグローム。
「この娘、まさか!」
後ろの洗脳装置から放電するような音が聞こえ、実際にグローム目がけて電撃が飛んできた。
「ガハァッ!」
激しいショックに貫かれ、グロームは地面に倒れこんだ。
それでも体勢を立て直すべく、起き上がろうとしたのだが、起き上がることはできない。何が起きたのだと顔を動かそうとしたが、その顔が動かない。ただ感覚で分かった。
凍っているのだ。自分の倒れこんでいる部分だけが凍りついて、地面に張り付けられているのだ。
「小・・・・娘・・・・がぁっ!」
身動きが取れないグロームに、アコが歩み寄る。
「もう一度言うわよ。覚悟しなさい!」
そのアコの怒りに呼応するかのようにゴゴゴゴゴゴと地面が先導し始める。そして、ボッゴン!!!と、何かが思い切り抜き取られたかのような音が鳴る。
「喰らいなさぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
「小ぉ娘ぇぇぇがあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
地面から抜き取られたでっかい岩の塊が宙を舞い、そのままグロームの上に激突した。



「・・・・お〜い。アコちゃんや。そいつのライフはもう0、ってかやりすぎ。どう考えてもオーバーキルだよ、それ。」
あまりにも一方的な展開に、ルインが茫然と驚きと呆れが入り乱れて滅茶苦茶になったリアクションで話しかける。
「え?ウソ?ルインたちもいつもこんな感じでやってないっけ?」
「いや、やってないから。手加減はしないけど、動けなくなった相手に全力全開で止め刺したりしないから。」
「まあ、こいつも戦いなれてる奴だから、死んじゃいねーだろーがな。」
そういうグロウも、若干呆れ気味である。
と、アコにボロボロにされたグロームが、何か呟いていることに気付いた。
「フ・・・ハハ。これで終わったわけではないぞ。この町に革変をもたらさんと志す者は、我のみでは、ない。」
「あーはいはい。それだけ三流小者台詞が吐けるなら、命に別状はないね。心配して損したわ。」
それを確認したらもうこいつに興味はない。ルインは話題を変えた。
「それにしても驚いた。アコちゃんもアトリビューター、しかも複属性使い(アマンドビューター)だったんだ。」
「アマンドビューター??」
座り込んだアコがたくさんのハテナとともに質問を投げかける。
「先生、お願いします。」
そしてルインはその質問を華麗にたらい回しした。
たらい回しされた先の先生は、いつものように溜息をついた。もはや様式美である。
「やれやれ。いいですか。複属性使いというのは、文字通り、この世界に存在する八つの属性のうち、一つではなく二つ以上扱うことのできる人のことなんです。当然、アトリビューターよりも人数は少ないですね。てっきり僕は、アコさんは水のアトリビューターだとばかり思っていたんですが、驚きです。」
ため息をつきながらも、ツェリライは結構感動しているようである。ほかの面々は、話を進める前に気になることを一つ。
「ちょっと待った。なんでアコちゃんが水のアトリビューターって思ったの?」
「いいですか。ヒーリングというのは、必ず水と風と光、それと例外的ではありますが木のいずれかの属性が付いているんです。」
「へぇ〜。属性によってなんか違いとかは?」
「大まかには同じですね。まあ、僕に言わせれば効果や効力に違いがありますが。」
「あ〜、だからあたしに『あなたもアトリなんとかじゃないんですか?』みたいなこと聞いてきたのね。」
「わかってなかったんですか。というか、自覚してなかったんですか。」
「う〜ん、まあほとんどふっ飛ばしとヒーリングしか使ってこなかったからね。」
てへぺろ☆とかわいく誤魔化すアコに呆れながらも、ツェリライは思案していた。
(しかし、6つの属性が使えるアマンドビューターですか。つまりそれは、ひょっとすると・・・)
その予想が事実だった場合、アコはこのままいけば自分の力に翻弄される運命を辿ることになるかもしれない。


「それで?アコちゃんはいいの?これからはあたしのために力を使うって言ってたけど、それってつまり、他人に言いようにされないために自分も戦わなきゃいけないってことだよ。」
「うん。それはわかってるわ。でも、あたしが一番嫌なのは、あたしの力のせいで皆が傷つくことだってわかったから。そのために戦わなきゃいけないって言うなら、いいわ。て言っても、基本的にはこれからもルインたちにお任せするけどね。あとあたしがなんかヤバいことになった時もお願いね♪」
「いや、頼りにしてくれるのはうれしいんですが、あの力を前に止めるとか、軽く死ねそうなんですが・・・。」
「でもルインが言ったんじゃない。あたしが危険なことになったら僕が止めるって。男は一度言ったら貫き通すものよ。」
「まあ、そういうこった。そのあたりのことはてめーに任せた。」
と、さりげなく責任転嫁を目論んだグロウだったが・・・
「甘いなグロウは。僕がそんな生易しいことを見逃すとでも?」
当然、答えはNOである。
「チッ・・・」
「舌打ちしない。それよりも早く救急隊呼ばないと、フィーナとレックが。」
「そだね。後ついでに僕らも結構ボロボロだから・・・ 骨が滅茶苦茶バギガギ言ってるわ。   ゲハッ」
こういうときのルインは、ギャグなのか本気なのかわからないから困る。
ただまあ、言った後にばったり倒れたところをみると、本気で言っていたのだと思われる。


ツェリライが治安部隊と救急隊を呼んで数分後、マスコミをくっつけた治安部隊らがわらわらと駆けつけてきた。
「またお前たちか。」
「まあ、そんないつものセリフ言わないでよ。今回は仲間が誘拐されて助けに行っただけなんだからさ。」
担架に乗せられたルインが、弁明する。そんな様子をヒネギム係長は珍しそうに見下ろしていた。
「しかしお前たちがここまで痛めつけられるとはな。よほど手強かったのか。」
「まーね。対人戦においては結構無双できる強者だったよ。数の暴力で攻めたら負けるだろうけど。」
「そうか、なら図らずもお前たちの手を借りたことになるな。こちらに一報も寄越さず突っ込んでいったのは感心できんが、この暴徒を鎮圧したことには感謝する。」
と、突然感謝の意を述べられ、ルインは困惑する。
「えーと、なんか柄にもなく感謝されちゃったけど、あいつがなんか捜査線上に上がってたの?」
「まあ、そんなところだ。最近、この町の政策に不満を抱く輩が増えてな。そんな頃合いに行方不明者が出始めていた。」
「だから下手人が誰か捜査していたところに、今回の通報が届いたということか。なるほどね。それならありがたく受け取っておこうかな。」
作品名:ACT ARME4 あたしの力 作家名:平内 丈