CROSS 第20話 『Eris』
ガリアとウィルは、研究室用の倉庫がある地下3階まで降りた。目的地の研究室は、この下の地下4階なのだが、地下4階へは、工兵でないと撤去ができないほどのバリケードがあったので、階段は使えなかった。その途中に、地下2階の指揮所に寄ってみたが、良い情報や装備などは無かった。
そこで、階段の向かい側にあるエレベーターを使うことにした。だが、
「エレベーターのドアが開いた瞬間、銃弾の嵐だぞ」
ガリアは、研究室の前には敵兵がいると予想しており、その予想は的中した……。
エレベーターのドアが開いた瞬間、研究室の前にいた数人のザフト兵たちが一斉に発砲してきた。幸い、ガリアとウィルは、エレベーターの外からの死角に隠れており、蜂の巣になることは無かった。
だが、手榴弾が投げこまれる危険があるので、ガリアは急いでエレベーターのドアを閉めた。そして、すぐ下の地下5階で降りた。
彼らは、地下5階から階段を使って地下4階に上がることにした。しかし、そんなことは、ザフト兵たちにはお見通しだったらしく、銃撃で彼らが階段を上がってくるのを阻止していた。
彼らは、地下4階と地下5階の間の階段の踊り場でどうすればいいのかを考えていた。手榴弾を投げこんでも、投げ返されるか手榴弾を撃ち抜かれそうだからだ。
『ガリア少尉とウィル少尉、研究所の地上部分の制圧が完了しました。これから地下部分の制圧を始めます』
残してきた隊員たちが、研究所の地上部分の制圧を終えたようだ。
「応援が来るのを待てばいいか」
ウィルはそう言ったが、
「せっかくここまで来たんだから、研究室の制圧はオレたち2人でやろう」
ガリアはそう言いながら、階段の天井を走るダクトを見ていた。そして、それからすぐに何かを思いついた様子で、
「いいか、オレの言う通りにするんだぞ」
と、通信してきた隊員に言い、命令を伝え始めた。
研究室の前では、数人のザフト兵たちが守りを固めている。彼らは、ガリアとウィルが使っていたエレベーターが、まず1階に行き、少ししてから、自分たちがいる地下4階に向かっているのを見て、CROSSが一気に攻撃してくると予想した。
しかし、その予想は外れ、やって来たエレベーターには誰も乗っていなかった……。
カンッ! カンッ!! カンッ!!!
そのとき、天井を走るダクトから、何かが転がってくる音が聞こえた……。ザフト兵たちが、不審に思って、頭上のダクトを見上げたそのとき、
ドーーーン!!!
ダクトの頭上の部分が爆発した……。裂けたダクトの金属片が、ダクトの真下にいたザフト兵たちに高速で降り注ぐ……。金属片が頭部や身体に突き刺さったザフト兵たちは、半分が即死し、半分は激痛にもがき苦しんでいた。
そこに、ガリアとウィルが現れ、彼らはもがき苦しんでいるザフト兵たちを楽にしてやった……。ダクトの爆発は、このアイデアの発案者であるガリアが投げ込んだ手榴弾によるものだった……。『ウラングレネード』という手榴弾の威力は強力で、壁などに金属片がグサリと突き刺さり、そのフロアのダクト全体がグニャリとゆがむほどであった。
作品名:CROSS 第20話 『Eris』 作家名:やまさん