CROSS 第20話 『Eris』
言うまでもなく、そのメイド姿の女性とは咲夜だった……。すでにザフト側に、咲夜の面は割れているらしく、幻想共和国側の人物であることぐらいはわかっている様子だった。しかし、さすがに突然の訪問は予想していなかったらしく、どう対処するべきかを迷うほどであった……。
「いつのまに!?」
提督はそう言うと、ピストルを抜き、咲夜に銃口を向けようとした。まあまあ正しい対処法だと言えるが、
「ウグッ!」
提督のピストルの銃口の先が咲夜に向くことはなく、提督は喉ぼとけにナイフが突き刺さり即死した。彼女は目にも止まらぬ速さで、ナイフを素早く投げていたのだ……。ずっと冷たい表情のままの彼女の両手には、何本もの鋭い小型ナイフが指に挟まっていた……。
ブリッジにいた全員がピストルを抜き、咲夜に一斉に銃口を向ける……。そして、引き金の指が動いた……。
……しかし、彼らは、咲夜たち幻想共和国側からすれば、「遅すぎる」・「弱すぎる」・「知らなすぎる」の3拍子の存在でしかなかった……。その証拠に、咲夜の独壇場となり、ブリッジは地獄絵図の有り様となった……。
まず咲夜は、全ての銃弾をジャンプで華麗に避けると、両手のナイフを全て投げ、ブリッジのザフト兵全員の息の根を止めた。ブリッジの異変を察知したザフト兵たちが、自動小銃を構えて突入してきたが、1つ目の弾倉を撃ち尽くす前に死ぬこととなった。
戦い終えた後、ブリッジで生きたまま立っていたのは、咲夜だけであった……。ブリッジのウィンドウには血がへばりついており、球形の血と死体が宙を漂っていた……。
作品名:CROSS 第20話 『Eris』 作家名:やまさん