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CROSS 第20話 『Eris』

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   ドカーーーン!!!

 突然、輸送機がこっぱみじんにブッ飛んだ……。輸送機の残骸や破片が、滑走路上にガシャガシャと散らばる。ガリアが振り返ると、ウィルがフランを指さしていた。ザフトの輸送機レベルを一瞬で破壊することなど、フランには朝飯前のことのようだ。彼女の顔には、不気味で得意気な表情が浮かんでいた……。

「ウワァ!!!」

 輸送機の残骸の近くにいたザフト兵が悲鳴をあげる……。どうやら、積荷が逃げ出してしまったようだった……。逃げ出したのは、吸血鬼ウィルス付きの大量の蚊と邪鬼という化け物が1匹だった……。邪鬼には、大日本帝国連邦のマークが入った鋼鉄製の装備をしていた。
 邪鬼や蚊は、吸血鬼ウィルスに対するワクチンが打たれていないザフト兵たちに襲いかかった。襲われたザフト兵の多くが吸血鬼となり、運がいい奴は邪鬼に食べられただけで済んだ……。
 その場にいたザフト兵たちが襲われるのを、ガリアたちは眺めていたが、邪鬼がCROSSも襲おうとしてくると、フランを除く全員が慌て始めた……。訓練シミュレーターで戦ってことはあるが、実際に戦ったことは無かったからだ。しかも、軍事用に改造されている邪鬼のため、戦闘力と防御力が強化されているらしかった。

   ドカーーーン!!!

 またフランがなんとかしてくれたようで、邪鬼がこっぱみじんにブッ飛んだ……。そこでガリアは、前方にいる吸血鬼たちもついでにドカーンして欲しいとフランに頼んだが、
「蚊が飛んでいるのが嫌だから、上で待ってる! あの吸血鬼たちは、私たち紅魔館派の吸血鬼じゃないから、殺しちゃっていいよ♪」
彼女はめんどくさそうにそう言うと、夜空へと飛んでいってしまった……。NBC防護服を着ているガリアたちの周りを、蚊がブンブンと飛び回っていた。ワクチン接種済みとはいえ、心臓に悪い……。
 フランが離脱してしまったため、ガリアたちは、ちまちまと吸血鬼と化したザフト兵たちを駆除していくしかなかった。コーディネーターの高い身体能力は、吸血鬼となっても同様らしく、負傷兵を何人か出してしまうほどであった。幸い、吸血鬼ウィルスは変異していないようだ。


 吸血鬼をすべて射殺し終えて、やっと研究所の近くまで来てみると、生き残りのザフト兵たちが研究所の入口の守りを固めていた。増援が来るまで、研究所に立て籠もるつもりなのだろう。もちろん、ガリアたちだけでなく、紅魔館陣営に長期戦の意志は無かった。
 しかし、入口のロビーを陣取っているザフト兵たちの守りは固く、正面から突破するのは難しそうだ。研究所の周囲で燃えている車が、砲弾や銃弾の跡が残る研究所を照らしていた。
「ガリア、あれを使おう」
ウィルが、根元から倒れている水平式タワークレーンを指さしながら言った。クレーンは、研究所の屋上に倒れこんでおり、傾いている鉄骨を渡れば、研究所の屋上に行くことができるようだ。
「よし、オレとウィルで屋上に行こう。他の奴らは、ザフトの連中がオレたちに気づかないように、攻撃していてくれ」
「了解」
隊員たちは、激しい牽制銃撃をして、ザフト兵たちの目を釘付けにした。その間に、ガリアとウィルは、倒れているクレーンへと向かった。