フレイスト 第一話
第三章 ~フレイスト~
7月2日 am5:15
夕暮れの誰もいないような裏路地に、二人の少年と、一人の少女がいる。そのうちの少年、古峰翔は一人の女の子を守るため、今天理の第三位、鞠水と張り合っている。
「あんま外で能力使うなって言われてるから、1分で終わらしてやる。」
鞠水はそう言って、石を軽く投げた。古峰はどういう技かわからないため、とりあえず後ろに避けた。そして地面に軽く投げた石が落ちた。ただそれだけなのに、まるでものすごい衝撃を受けたかのように地面が大きくへこんだ。
「・・・っ、なんだこりゃ。」
後ろに下がるのが早かったから、かわすことができた。
「どうだぁ、俺の隕石落とし(メテオフォール)は。俺が投げた物質は、その大きさに応じて、威力が変わるんだぜ。しかもこの技、俺くらいしか使えないんだぜ。」
「ああ、すげえな。」
「ちっ、なんだその言い方は。誰に上から目線で話してんだ。」
そう言うがいなや、無数の石が飛んできた。一つでも食らったらひとたまりもなく、体が吹き飛ぶだろう。しかし古峰は一歩も動かず、こう言った。
「だが、そんなもんか。」
そう言うと、古峰の周りを優しく、そして力強い青色の波動が包み込んだ。そして、飛んできた石を全て跳ね返した。
「!?」
鞠水は少し動揺した。すぐ冷静に分析し、
「お前、波動使い(フレイスト)か。いくら軽くやったとはいえ、気だけで跳ね返せるのは、二人しか知らねえな。お前からは、あの野獣みたいな感じはしなかった。だとすると、古峰の方か。」
「ああ、そうだ。」
それを聞くと、鞠水は不気味に笑い出し、
「はっは、マジかよ。じゃあお前、俺が下って知っててあの態度とってたのか。面白いねぇ。俺超ラッキーじゃん。順位上げるチャンスじゃん。」
「順位が上だ、下だ、んなこと関係ねえ。たとえ俺が一万位だろうが、ビリだろうが、俺はてめえらの前に立ってやるよ。」
「そんな綺麗事でも決まっちゃうてのが、余計腹立つねぇ。俺はお前を本気で倒して天理が最強ってこと教えてやるよ。」
そう言うと鞠水は、無数の石を投げてきた。さっきと同じように体に波動を貼ればダメージは喰らわない。しかし、鞠水は古峰の足元を狙ってきたのだ。地面が大きくへこみ、古峰がバランスを崩す。その時に鞠水は、直径2mくらいの大きな石を飛ばしてきた。こんなでかい石が隕石落としの効果を受けて地面に落ちたら、近辺の場所が確実に吹っ飛ぶ。
「さあ、よけれるもんなら避けてみろよ。少なくとも、コイツもお前の学校も確実に吹っ飛ぶがな。」
さっき見たいな守りじゃダメだ。そう呟くと、体全体から、波動が湧き出てくるかのように溢れ出した。古峰が右手を後ろにさげると、右手に大量の波動がたまり、右手を前に出すと同時に、波動波が放たれた。