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フレイスト 第一話

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第二章 ~夕暮れの死闘(サバイバル)~


                            7月2日 pm4:30

街中に学生の姿が多く見え始める頃、一人の少年が周りの注目になっていた。名門、凪原学校の制服を着た一人の少年、古峰徹だ。普段は、学校専用の寮に直接向かうバスに乗ってくのだが、バスを待つのも面倒だったので歩いて帰ることにしたのだが、
「あ~、やっぱバス待つべきだったかな。」
と、今更遅い後悔をしている古峰であった。
 歩いてると、だんだん人通りの少ない道に入った。やっと落ち着いた、とほっとする古峰だったが、その時、大きな音と共に、爆発したかのような火柱が上がった。場所はここからさほど遠くはない。あの火柱からして、おそらく能力者だろう、そう思った古峰は、急いで行ってみることにした。
 路地裏を走り、路地を曲がった時、何かにつまずいて転んだ。
「痛ってぇ、なんだ一体。」
と下を見たとき、古峰は動きが止まった。人が倒れているのだ。歳は俺と同じくらいの女の子。しかし、その体にはかなりの傷が見える。さっきの爆発に巻き込まれたのだろうか、そう思った古峰はその子を抱えると、すぐ、寮に向かうことにした。名門ということもあって、設備はしっかりしていて、医療設備もそこらの病院と同じくらい、それ以上かもしれない。
 寮に走り出した古峰。と古峰のすぐ後ろで、ものすごい衝撃が与えられ、地面がへこんだ。
 それに驚きつつ振り返ってみると、一人の少年が立っていた。
「いきなりすいませんね。俺は、天理学校の生徒の鞠水(つぐみ)だ。ちょっとそいつを捕まえろと命令が来たんでね。ああ、逆らわないほうがいいよ。俺はこれでも学校三位で全国十二位の実力だ。こっちもできればお前を傷つけたくない。早く渡してくれ。」
 天理学校。その名前を聞くだけで体が固まってしまうような強豪校だ。五本指のうちのひとつの学校である。天理の専門教科は宇宙エネルギーである。去年の星蘭祭(せいらんさい)では、全国で一番の学校に選ばれたくらいの強豪校だ。
 そこで古峰は疑問に思った。
「なんで、お前らはこの子をおっているんだ。天理つったら、全国一位だろ。どうしてこんな真似をする。」
「んなこと知らねえよ。俺はただ、そいつを捕まえて来いと上から命令が来ただけだ。詳しくなんか知らねえ。多分実験にでも使うんだろうな。」
 古峰の頭には、『実験』という言葉が響いた。一体、この子の体を、この子の命を、まるでモルモットのように、ただ殺されるためだけに使われるのか。
「・・・ねえよ」
 はっ?と、鞠水が言う前に、
「渡せねえよ、てめえらなんかにこの子を渡してたまるかよ!」
「何言ってんだぁ、お前。ここでお前がなんと答えようが、そいつを連れてくのは変わんねえんだよ。変わるのは死体が一つ増えるか増えないかくらいだ。」
「んなこと知るか。顔すら知らない女の子のために死にたかねえが、それを見捨てて、ひとつの命が消えるのを、みすみす見てろってのか。それだったら死んだほうがマシだ。」
「じゃあ死・・・」
 鞠水がそういう前に、
「それに俺は死なねえ。お前らが何人こようとも、全部返り討ちにしてやる。」
作品名:フレイスト 第一話 作家名:山瀬了