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ねこたねこ
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猫のムサシと猫のコジロウ

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ムサシとコジロウ

   プロローグ

 二階の窓の網戸がガリガリと音を立て、サッシがギシギシとずれる。佐織はその音にもうろうとしながら半分目をあける。
一階に家族がいなくて家に入れないとき、ムサシはいつも猫幅に開けてある佐織の部屋の窓から帰ってくる。
寝ぼけている佐織はぼんやりとしながらもハッと気付く。布団を蹴り飛ばし、網戸に向かって突進する。
カーテンを開けると、そこにはムサシがいた。
「ムサシ! ムサシーーー! やっと帰ってきてくれたんだね。おかあさーん! ムサシが、ムサシが帰ってきたーーー!」
 大声で叫び、つぶれそうになるほどムサシを抱きしめる佐織。泣きながら胸の中のムサシを覗くと、ムサシはぐっすりと眠っていた。あれ? 何かおかしい……。
いつもここで目が覚める。
 もう何度見た夢だろう。佐織は思う。残酷だよね、この夢。ほんとに、残酷だよ……。