SAS closed room
霞む目で天井を見上げる。
だが板が嵌っていた場所には俺の想った空間は無かった。
あったのは――――
あったのはやっぱり白い天井。ただ一つ他の部分と違うのは、汚い手書きの文字で『ハズレ』と書いてある事だった。
――――本当にそれだけだった。
「は、ははは、は、は、は」
乾いた笑いが耳に届く。
それがもう自分から出たものかどうかすら、俺には分からない。
急速に視界が暗くなっていく。体から力が抜けて、立っている事も――――もう……
ドサッという何かが崩れる音がした。
作品名:SAS closed room 作家名:有馬音文