SAS closed room
「て……てんめぇ!」
「ち、ちが! ちがが!」
イケメンは激昂してナイフを手にオッサンへと突進した。オッサンははいずりながらも逃げ、そして女の元へと辿り着くやいなや鉈を彼女の体から引き抜いた。ブシャアアア! という馬鹿みたいな音共に女の体は鮮血に塗れた。女が生きているかどうかなんてどうでもいい。どの道もう助かりはしない。
真っ赤に染まった室内でイケメンとオッサンが互いを攻撃しあう。刺し、斬り、殴る、蹴る。その度に異様な音と匂いが部屋を支配していく。オッサンが膝をつき、前のめりに突っ伏した。イケメンもそれを見届けるとそのまま仰向けに倒れた。その直後、イケメンの首から血がドバーッと溢れ出た。
作品名:SAS closed room 作家名:有馬音文