SAS closed room
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こんな状態で24時間も持つはずが無い。とにかく落ち着け。その思いは他の3人も同じだったらしく、全員が床に座り込み、そして押し黙った。なんだか少しばかり酸素が薄くなってきた気がする。気のせいか? いや、本当に――これは……。
まともに頭が動くうちに何とか打開策を考えなければならない。どこかに突破口はあるはずなんだ。そうじゃなきゃおかしいだろう?
女は相変わらず部屋の隅で拳銃を握っている。イケメンはさっきどさくさに紛れてナイフを手に取った。今も右手でそれを弄びながら、じっと酸素計を睨んでいる。オッサンは何やらモジモジとして落着きが無い。酸素計の数値は全員がじっとしている事が功を奏したのか、その減少はじわりじわりとした物へと変わっていた。現在の数値は56。しかし既にかなりキツイ。頭痛も出始めている。0になると意識を失うと言われているが、実際には30にもなれば、マトモに思考する事すら出来ないだろう。
部屋の中央に残されたのは、鉈とボウガン。武器を手に取ったのは二人。持たないのも二人。俺はなんで武器を手にしないんだ。この期に及んで偽善か? ―――――いや、違う。何か……そう、この武器に何か違和を感じているんだ。
作品名:SAS closed room 作家名:有馬音文