小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

「舞台裏の仲間たち」 66~67

INDEX|5ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 


 再結成の旗揚げ公演からはすでに、半年余りが経過をしています。
一番乗りが順平とレイコで、ほどなく雄二がやってきました。
茜と石川さんが一緒に登場をして仲の良いところを見せ付けていると、間も無く美術担当の西口と小山もやってきました。
「あとは座長だけかしら」とつぶやいているところへ、頃愛を見計らったかのように当の座長も現れました。


 「微妙に時間をずらしながらやってくるところなんか、
 やはり皆さんは、そうとうな役者です・・・・
 さて、お揃いになりましたね。
 まずは、この間のひと騒動の張本人でもある、
 雄二君から、快気祝いの報告をしてもらいたいと思います。
 本日は色々と発表と報告の予定もありますが、とりあえず
 全員の久々の再会を祝して、雄二君には
 乾杯のあいさつなども兼ねて、よろしくお願いたします」

時絵に紹介をされて、雄二がはにかみながら立ちあがります。
まばらに起こった拍手を手で制しながら、全員をゆっくりと見回しました。



 「その節には、
 皆さんに、大変ご迷惑をおかけしてしまいました。
 無事に退院をして、それ以降は順平さんの会社でお世話になっています。
 ようやく親子三人の平穏な生活が、戻ってきたといえるこの頃です。
 新入団員として、ほとんど何もしていないうちに、
 迷惑だけをかけたことを本当に心苦しく思っている次第ですが、
 先ほど座長から、水臭い事は言うなと
 怒られてしまいました・・・・」

 「当たり前だ」の野次に雄二があわてたあまり、言葉に詰まってしまいます。
 

 「元気な顔を見せたのだから、
 まぁ、その先で語るであろう雄二くんの、懺悔の話は後回しにして、
 とりあえず先に乾杯を済ませましょう」

 と、時絵がグラスを持って立ち上がります。
賛成と茜も立ちあがりました。
雄二が目を白黒させているうちに、女たちがグラスをあわせて乾杯をしてしまいます。


 「なぁに真面目に、挨拶なんかをしているのさ。
 あんたも冗談の分からない子だわね、雄二くん。
 まだ劇団になんの貢献もしていないど新人に、本気で
 快気祝いをさせてあげるなんて、10年も早いわよ・・・・
 と、此処に居る美術担当の、小山くんと西口君が先ほどから
 言っておりました。
 要するに、早く呑みたいだけですけどね」

 苦笑している雄二を、時絵が目で合図をして着席させます。