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『愛情物語』 ノクターン第2番 op.9-2 (ショパン)

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 たかしなレディースクリニックには入院設備があり、個人病院としては立派な設備が整っていた。不妊治療で実績を積んできていることで有名でもあり、時には北海道や鹿児島からも相談に訪れる人たちがいる。
 冴子は、タクシーで帰りついたばかりの君子と肩を抱き合って、リビングのソファに座って啜り泣いていた。
 父の胸に、ナイフが突き刺さっていたのである。
 ふたりのそばには、村田巡査部長が立ったまま付き添っていた。

 コンコン、と軽くノックして、まず現場を見てきた強面の男がひとりで入って来た。村田巡査部長が深くお辞儀をして招き入れる。
「ご苦労様です。奥さんと第一発見者で娘さんの高科冴子さんです」
 立ち上がろうとしたふたりにそのままで、という素振りを示して続けた。
「本庁捜査1課の森主任(警部補)です」
「御心中お察しします。お楽にしてください。村田刑事と捜査に当たらしていただきます、森です。ちょっと失礼」
 ひとりがけソファに腰を下ろし、手帳を取り出した。
「お答えにくいこともあろうかと思いますが、出来るだけ詳しくお話しいただけたら、それだけ早く犯人逮捕に繋がりますんで、よろしくお願いします」
 そこに巡査に付き添われた小塚滋が入って来て、再度挨拶を繰り返した。