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『愛情物語』 ノクターン第2番 op.9-2 (ショパン)

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 高科保は、18年前に山梨県から池田市に転入し、いきなり『高科産科医院』を開院している。
「係長、害者の過去を洗い出したいと考えてるんですけど」
 大阪府警本庁は大阪市中央区にあり、大阪城のすぐ近くである。
 森主任はたばこを咥えて、大阪城天守閣に視線を向けていた。考え事をする時は、いつもそうしている。
 西村係長(警部)は、森主任が提出した捜査書類に見入っている。
「そうやな、そうしてくれるか」
「つきましては、山梨への出張の許可をお願いします」
「ん? あちらさんに頼むことはできんのか」

 西村係長は渋面を作った。ここのところ事件件数が多くて予算が残り少なくなり、経費削減がうるさく言われているからだ。
 森主任は言いなおした。
「いずれはあっちぃ行く必要はある、思います。とりあえずは、調査依頼事項として送っときます」
「ん、そうしてくれるか。やぁ村田はん、ごくろうさんでんな」

 村田刑事が会釈して入って来た。捜査会議が午後から行われるからである。
 村田刑事は巡査部長ではあるが、西村係長の先輩である。