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文が痛い

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マコ



 初夏、ですかねえ。友達と二人で京都をぶらぶらしてきました。今まで気にしていなかった樹々の美しさ、生命力の素晴らしさを感じました。カズのせいかな。
 写真拝見しました。思ってたよりワイルドに思えました。マコも送らなくてはいけないんかなあ。自信ないなあ。

 あ、この前喫茶店のマスターに浅川マキみたいだねっていわれました。そういう雰囲気もあると思う。明るくないしね。理由もあるんだ。
 でも、まだ知り合って間もないのに、こんなこと書いていいかなあ。マコの家、家族バラバラ、時々話をするのは妹とだけ。いろいろあるんだあ。ここへ越してきた理由も両親の離婚だしねえ。母と妹と一緒なんやけど、あ、妹は私と違って女優の誰かに似た感じやし、明るいし、要領いい女です。父親は一緒かどうかねえなんて思っちゃう。どうでもいいやそんなこと。私、母、妹、それぞれ別人だから。

 母親はほんとに無口です。だから私とはほとんどしゃべらず、妹は母に勝手に話しかけているが、たまに母から返事が帰ってくるといった状態です。まあ、一日中働いて帰って疲れているんやけどね。昔からだけど、離婚したせいでよけいに無口になったみたい。離婚の原因が夫の浮気というよくあるパターンだけどね。
 マコは小さい頃、ほとんど祖母に育てられてきたから、父も、そう父も毎日夜遅かったみたいで、たまにしか顔をみませんでした。母もずうっと働いていたんだ。だから両親とも他人みたいにしか思えない。それは今でもそうなの。おばあちゃんはもう亡くなってねえ。
 それから私には他人に言えないような過去があって、ずうっと引きずっているの。今、どうやって家を出ようかと考えている。でも、女一人で生活してゆく自信がない。

 カズは一人ぐらしだよね。いいなあ男は。
 うちにテレビはあるが、母と妹は見ている。私もテレビは見ない。ふふ、同じだね。今、アーチーシェップのレコードを聴きながら書いています。少しずつ元気が出てきて、こんどは寝れなくなっちゃうかな。カズはもう眠っている時間かもしれない。
おやすみ と呟いてみて、顔を赤くしています。            マコ

作品名:文が痛い 作家名:伊達梁川