colors
膝元には見覚えのある部屋着2着。あれ?俺のじゃね?
「なんで?」
「真白母が貸してくれた。」
お母さんを見てみると、てへっ★っていう表情をしていた。
五月雨家は基本あんなことをしない。身につけているモノは基本黒。そうとう中の良い相手にしか感情を出さない。
癖に、何だか。
テンションが上がっている。
「今日中にゲートまで行くのは無理でしょ。だから真白の洋服を貸したのよ。一日位我慢なさいな。」
「はぁ、分かったよ。」
勝手にしてくれ。
自分の好みの席について、そこに置いてあったココアを一口飲んだ。
あ、暖かい。
「そういえば、僕達って真白と一緒に寝てもいいの?」
ブッ
「お兄ちゃんきたなーい。」
「真、真白?ちょっと拭くものをくれないか?真白が吹いた。」
「真白父、此処にありますよ。」
「おぉ、攻君ありがとう。さ、拭け。」
なんでココアなんだろう。お茶だったら別にどうってこと無いのに。お母さんと護なんか嫌いだ。
しかも、俺の視界数センチメートルにはお父さんがタオルで俺の膝を拭いていたし、攻が追加のタオルを持ってきていた。
護は「何かやばい事言ったっけ?」って思考を廻らせ中だ。
「お父さん、大丈夫。ありがとう。」
「あぁ。」
「寝るところか。二人は俺のベット使って。俺は布団持ってきて床で寝る。」
「良いのか?」
「あぁ。取り合えず、拭きながらやらないでくれないか。凄く恥ずかしい。」
追加のタオル、一気に茶色に変化した。そんなに入っていたのか口内にさ。
俺そんなに口でかかったのか。
「真白、そろそろ部屋に案内しちゃって。お風呂は今入ると風引いちゃうでしょうから朝でも大丈夫かしら?」
「あ、大丈夫でっす。」
思考駆け巡りが終わったらしい護は気楽に答えていた。
「明日は2人はどうすんだ?」
「明日は休んでゲートの所を見てみようと思う。出れそうならばでるさ。」
「そうか。部屋、いくぞ。」
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部屋の中には基本モノを置かない主義だ。余り散らかっているのは好まないほうだ。
何時ぞやに調べていた旧トウキョウについての物はもう当の昔に捨ててしまった。今の時代にはもうぶり返す事は無い筈だから。
期待はしないことにした。
「それじゃ、おやすみ。」
「「おやすみ。」」
俺が枕元においておいた電気スイッチを手に持って電気を消した。
少しの間は緑色っぽい電気が淡く発光している。少しだけ、攻の瞳のようだと思っている自分がいる。
明日、2人はゲートを潜って帰るのだ。
寂しいなとかは思わない。別に仕方の無い事だからだ。外部の人間は余りいてはならないと思う。
このガーデンはあの2人にとっては何故だか知らないけど良くない場所だと俺は思った。
きっと帰れる。
そう願って今日の物語は閉じようと思う。