colors
どうやら、やっと護の頭脳派が発揮し始めたみたいだ。少しだけさっきよりは余裕が出来始めたらしい。
表情が柔らかくなってきている。
「どうやらね、僕達が追われていたときにさ、急ぎ過ぎていたらしくて完璧に気がつかなかったらしいよ。」
「でも何処かでは察知していたのか・・・。」
「正直言うと、僕達両者とも察知していたんだよ。入るまでには。」
「は?」
今物凄くアホみたいな声と表情なんだろう。どういうことだ?ここの中に入るまでって。
そこまでわかっていた?今は分からない?
「で、何で入ってこれた?」
あ、忘れてた。
あぁ、うん。わざとだよ。そんな目で見ないで。
「分かるか、護?」
「うーん、そこに関しては何とも。普通に入れてるみたいだし。」
その瞬間、相手の緋色が一段と濃くなった。どうしたんだ。
「普通に入れた・・・だと?」
「そういっただろ。」
「あ。」
「あ?」
後ろにいた護がいきなり発した。こいつもどうした。
「そういえばさ、追っ手の気配が消えているんだよね。」
「そういえば。」
こっちも忘れていた。何処に行ったのだろうか。
「もしかしたら、あの人たちは<普通>には入れ無くて帰ったんじゃないのかな。推測だけど。」
「まぁ、お前が言うのなら、そうなんだろう。」
そういうとこいつの表情が一層に柔らかくなった。
「信じてくれるの?ありがとう。」
「あぁ。」
「おい。」
そして2人ともまた相手を忘れていたことで無言の圧力をかけられてしまった。